影踏み

http://www.kiyoharu.jp/popup/040908_dvdkagefumi/040908_dvdkagefumi.html
黒夢Sadsを経て、昨年からソロ活動を開始した清春のソロDVD。 今回すっかり予約するのを忘れてたんですが、幸いにも近所で売っていたので即購入。
このDVD、ライヴ映像「the shoot」とドキュメント「rooms of melancholy」の2枚組なんですが、本日はとりあえず「the shoot」のほうを観賞。
清春といえば、その独特の唄い方は好みの分かれるところかもしれませんが、私は黒夢時代からずっと聴き続けていて、むしろこの唄い方を唯一無二の個性と考えています。
で、ソロになってからの清春は、封印していた黒夢時代の曲を唄ったり、ハード一辺倒だった一時期と比べると、よりメロディアスでメランコリーな楽曲が増えたような印象です。 印象としては、黒夢初期のバラード曲に近い感じですが、当時の「作っている」感じのヴォーカルではなくて、もっと自然な印象が私にはありました。(これでも知らない人が聴いたら相当クセのある唄い方だとは思いますが…^^;) もちろん、パンキッシュな楽曲も嫌いではないですが、実はこういう楽曲が自分にとっては一番ツボだったりします。 ソロでこの系統の楽曲を全面に出してきたというのは、アルバムごとに違った方向性を打ち出してきた今までと違って、これが一番清春の本質に近いものなのかもしれませんね。
で、DVD自体の感想ですが…やはり楽曲の持つパワーが胸に迫ってきます。 ギターなどの音質で迫るパワーではなく、楽曲自体が持つ感情の根底を揺り動かすパワーをひしひしと感じます。 特に、序盤で私の好きなオーロラ〜2月〜MELANCHOLYのあたりはヤヴァい! 泣きソーです…(T_T) 更に、映像的に最も印象的なのが、黒夢時代の曲「情熱の影」で赤のライトを浴びて妖艶なパフォーマンスを魅せた後、清春の存在がドライアイスで文字通り「煙に巻かれた」直後、一気に視界が晴れて白の衣装に白のスポットライト、更にギター一本で弾き語る「孤独を愛せる人」に入る部分。 この演出は、実は清春ツアーの初日で私も目の当たりにしてるんですが、これは本当に驚きました。 そして、終盤は名曲「あの詩を歌って」〜「飛行船」。 「飛行船」は、壮大で視界が開けるような、清春の今までのキャリアではなかなか無い珍しいタイプの曲だと思うんですが、終盤が凄い! この飛行船という曲、以前雑誌のインタビューで「自分自身の今の立ち位置をイメージしている」といった旨の発言があり、「最後は燃料が切れてゆっくりと落ちていく」と語っているとおり、終盤、ギターのコードが不安定になって唸るんですが、そこにライブバージョンでは清春のエモーショナルな叫びが重なっていき、もはやまばたきも出来ないほど釘付けになります。 DVDバージョンではこの部分が若干短めの印象を受けましたが、以前ライヴで目の当たりにした時は本当に凄かった! 涙が出ました。
このDVD、黒夢Sads時代のDVDの作りとは根本的に違っていて、今まではライトをガンガンに当てて、ハードさやパンキッシュな部分を全面に押し出したものが多かったんですが、今回は全く逆で、全体的に暗いステージ上に、赤や青の光が清春のシルエットを浮かび上がらせる、といった仕様になってます。 清春ソロの楽曲が持つパワーというのは、光よりもむしろ影…というか、「闇」の部分が大きいのではないかと思うのですが、「闇があるからこそ、わずかなその光が存在をより印象付ける」といった映像コンセプトは、そのまま今の清春の楽曲に大きく通じるものを感じました。
コレは、聴けば聴くほどその深みにハマっていく、今の清春の唄、そして楽曲の持つパワーの凄さを再認識させてくれるDVDだと思います。 特にSads時代の清春しか知らない方は、是非一度体験することをオススメします。 きっと清春の違う姿が見えてくると思いますよ。