アポロンとサイトロンの方針の違い

なんとなく昨日の話の続き。
アポロンゲームミュージックにはやたらとエフェクトがかけてあるって話をしましたが、これとは割と対照的なのがサイトロンレーベルです。 「ファミコン20TH」の収録に伺ったとき、プロデューサさんに伺った話ですが、このCDの基本方針は、あくまで「ファミコンの音源を資料として残そう」ということだそうです。 その為、エフェクトは入れず、エミュではなくあくまで実機録音、更にSEも可能な限りカットした状態で収録というスタンスだそうです。(それに絡んで私の出番となったわけなんですが^^;)

こういう、ある意味ストイック(某7thの座禅ダンスではない^^;)な姿勢で作られているこのCDですが、実はサイトロンは昔から割と「資料的価値」という姿勢だったように見受けられます。 エフェクトをあまりかけないというのもそうですが、その最たるものが、特に1500シリーズには必ずといっていいほど入っていた「SEコレクション」ではないかと思います。 正直、純粋に音楽だけを楽しみたいという向きには、SEコレクションは無用の長物とも思えるものです。(実際、私がカセットやMDにダビングする際は、SEコレクションはカットしてしまいます^^;) それでもなおかつSEを収録したというのは、あくまで「資料的価値」を重視していたからでは、と改めて思った次第です。

実は、アポロンにおいても、SEコレクションは存在します。 SEにエフェクトがかかっているのは勿論ですが、面白いのが「SEコレクションにBGMが乗っている」こと。 サイトロンでもBGMが乗ったものもありますが、アポロンのはあくまで「ゲーム中のSE」ということを意識していて、単発で鳴らすだけではなく、ショット音などは複数回鳴らしていたり、場面によってBGMを変えたり(ドラゴンスレイヤーIVとか)していました。(ちなみに、グラディウス2だけは何故かSEコレクションは単独SEのみでした。 あ"、パロディウスもそうだったかも) 更に、「グラディウス」「沙羅曼陀」のカセットテープB面などでは、ゲームプレイバージョンを収録していました。(だと思います…詳しくは覚えてないけど) その思想が突き進んだものが、ドラクエのCDなんかで御馴染みの「サウンドストーリー」だと思います。 オリジナルバージョンは実際のゲーム展開と同様のゲームプレイを収めてあるのですが、これも結構凝っており、ドラクエだと戦闘シーンのSEはプレイヤーの攻撃と敵の攻撃でパンを左右に振っていたりしてました。 このような収録形態は、実際のゲームプレイをなぞるという意味で、プレイヤーの回想の助けになったり、(RPGの場合は)ある種ヒントのような存在でもありました。 それと同時に、目的の曲にSEがかぶってしまっていたり、1ループしか入っていない場合があるという意味では、純粋に音楽を楽しみたい向きには不評でした。(個人的には、ドラクエIIの「LoveSong探して」が1ループしか収録されていないのが非常に不満T_T)

個人的には、(可能であれば)SE入りのプレイバージョンと曲が単独で楽しめるバージョンの両方があると嬉しいですね。(^^) まぁ、現実には1つのアルバムでそこまで凝った作業をすることは難しいんでしょうけど、どちらのニーズも満たすようなアルバムが出ると良いなぁ、なんて思ったり。 例えば、昨日書いた「沙羅曼陀」については、当時アポロンからカセットテープ版としてSE入りのテープが出たと同時に、アルファレコードからBGMのみの収録盤が出ています。(コナミックゲームフリークス…コレって結局Legendシリーズでの復刻は無いのでしょうかT_T) 純粋にBGMを楽しみたい場合はコナミックゲームフリークスを聴いてましたが、アポロン盤のも編集が絶妙で非常に好きでした。(^^) アポロン盤は、ただゲームプレイを収めるだけではなく、2面以降はボスBGMのみSEを挿入してあり、その部分は遭えてBGMの音量を抑え、特徴的なSEが前面に来るような編集がされています。 個人的には、今でもベストな編集の1つではないかと思ってます。(モノラルにされちゃったのは私もちょっと解せないですが^^;)

なお、今販売されている食玩「ゲームサウンドミュージアムファミコン編〜」の付録CDは、シングルCDなのになんとオリジナル版とゲームプレイバージョンの2種類が収録されてます! 既に「ファミコン20TH」シリーズをお持ちの方も、店で見かけたら是非買ってみると良いでしょう。 ゲームプレイバージョンを聴けば、当時プレイしたタイトルならばきっとその懐かしい記憶を呼び起こしてくれるに違いありません。

…以上、ゲームミュージックファンの戯言でした。(ぉ