マ(ワ)イドゥド・スケッチ・ショウ

※タイトル最初の文字は、本当は「マ」と「ワ」を合成させた文字です…って、そんなフォントあるわけないやん(^^;)
http://www.avexnet.or.jp/sketchshow/

というわけで、昨年発売された、スケッチショウのライヴDVDを観賞。
スケッチショウは、元YMO高橋幸宏氏と細野晴臣氏によるユニットで、大雑把に分類するとアンビエントなエレクトロ音楽のユニットです。(※私は音楽のジャンルに明るくないので、若干ウソついてるかもしれません)

YMO」といえば、テクノポップな雰囲気を思い浮かべる向きが多いと思われますが、スケッチショウYMOのような独特な存在感を示す方向ではなく、逆に空気のように自然とそこにあるような存在を目指しているように思えます。 特に、2ndフルアルバム「LOOPHOLE」ではその方向が顕著で、もはや仙人の域に達したのではないかと思われる環境音楽は、長く音楽活動を続けてきてこその一つの到達点のように思えました。

で、本題のライヴDVDについて。
このDVDで特殊なのは、映像自体に特殊なエフェクトがかなりかけられていること。 全体に暗っぽい会場で、音に合わせて画面がブレたり砂嵐やザッピングが発生するのは、素で映像を楽しみたい人にとっては邪魔かもしれませんが、私は結構面白いと思いました。 ただ、昔のYMOのビデオに入ってる映像エフェクトを観て、高橋氏が「まぁ、アレは当時の流行りでしたので…」みたいに20年後くらいに云われたりするのかもしれませんが。(^^;)

音楽のほうは、どちらかというと1stアルバムからの選曲が多い為か、ほとんどの曲は2ndのように完全に環境音楽というわけではなく、まだ音の1つ1つが環境音楽の中で遭えて「異質なもの」としての存在感を示すような曲が多いです。 アンビエントというよりもエレクトロに近い感じでしょうか。 ライヴビデオを観て驚くのが、これらの「異質な音」というのが、全てがシンセサイザーの仕業というわけではなく、実際に生演奏で行われているということ! 確かに、エフェクト等がかかっている為、本来の音ではないわけですが、ギターやユーフォニューム、パーカッションなどの独特な奏法による1音1音に、確かな存在感があるのです。 ちなみに、アンコール(かな?)でYMO時代の「Pure Jam」を演奏しているのですが、スケッチショウ風にアレンジしてあるものの、他の曲と違和感が全く無いことから、当初は「BGM〜TECHNODELIC」あたりの方向性を意識していたのかもしれませんね。

また、方向性としては、エレクトロ以外にも穏やかなメロディラインを淡々とかつ温かみのある声で歌い上げる曲も素晴らしいです。 個人的に気に入っているのは、(実はスケッチショウの作曲ではないそうですが)「Do You Want To Marry Me」。 高橋幸宏氏は、どちらかというとドライな声質ながらも温かみを感じるという不思議な声質の持ち主で、高橋氏の声を聴くとすっかりメロメロになってしまう私ですが、この曲はその中でも特に素晴らしい! 精神的に、あるいは肉体的に疲れきった身体を癒してくれる心地よい音楽がそこにはあるのです。

全体的に「癒し」の音楽が多い中で、若干激しい曲もあります。 特に、恐らくアルバムには未収録の曲で、本編ライヴアクト最後の曲だったと思われる「Zoetrope」。 重いキックに支配されるミニマルなハードテクノ風味の曲ですが、ここにスケッチショウのお二人の遊び心が出ています。 曲がスネアのフィルインによって最高潮に差し掛かった時、なんといきなり二人でリズムに合わせて(微妙な)ダンスを始めるのです! 例えるなら、「君に、胸キュン。」のプロモにあった振りみたいな感じ。(w そうです。 このDVDでは、お二人のお茶目な部分も垣間見ることができるのです。 特典映像にご本人出演の前説映像があるんですが、ここで軽いコントをしてたりもします。 ここでもお茶目なオジサンぶりを堪能でき、非常に好感が持てます。(^^)

エレクトロという特殊な音楽ながらも、天にも昇るような心地よさを体験できる極上のDVDで、個人的には非常にオススメの1枚です。 興味のある方は是非!