Classic In Game Music

http://www.webcity.jp/ds/detail.php?pid=SCDC-00463
というわけで、本日届いたので早速聴いてみました。
このCDは、最近よく出ているサイトロン企画盤の中でも異色の作品で、クラシック音楽が原曲のゲームミュージックを集めたコンピレーションアルバムになってます。
クラシック音楽は、多くの人にとって馴染み深い(題名は知らなくてもメロディはどっかで聴いたことあったりとか)上、版権が切れていたりするので(^^;)、昔からゲームミュージックとしても実はかなり使われていました。
しかし、クラシックの原曲は生演奏です。 特に昔のゲームになると、ハード的に完全再現は不可能です。 でも、原曲の完全再現が不可能だったからこそ、そこに独自性が生まれるのだと思います。 このCDは、そんなゲームミュージック的なクラシック音楽のアプローチが垣間見れる面白いアルバムだと思います。
まず、インデックスが壮観。 30タイトル、全55トラックの楽曲が並んでいます。(なんか昔のベーマガみたいだな^^;) もーコレだけでもお腹一杯。 これでもきっと氷山の一角なんでしょう。 なんだかワクワクしますね。(^^) そして、1曲目は…なんと、あの「サーカス」。 通称「風船割り」と呼ばれてたやつです。 この曲は、あのYMOの楽曲にも収録されている有名な曲ですが、まさかオリジナル音源をこの時代に再び聴けるとは!(どっから基板見つけてきたんでしょう?^^;) 昔、日曜日に連れて行ってもらってたダイエーの屋上にこのゲームがあって、よく遊んでたんだよなぁ…懐かしいです。 続いては、「チャレンジャー」「ペンゴ」「バイナリーランド」とお馴染みの楽曲が続きます。 この頃は、性能的にも1〜3音程度しか鳴らない音源ですから、まだ楽曲を完全再現という方向性ではなく、馴染み深いメロディが鳴るだけ…といった印象ではありますが、むしろ生演奏が基本であるクラシックを相反する無機質なコンピュータの音で鳴らす、といった部分に、当時の視点で見た未来予想図というのが垣間見えて、今の時代に聴くと当時の雰囲気が蘇るようで懐かしさを感じます。
アルバム中盤になると、音源としてはさほど変わらないものの「聴かせる」為の技術力の向上により、だんだんと表現力が上がってきていることがわかります。 baddy氏が推してた「フィールドコンバット」あたりからその傾向が出てきており、「フィールド1〜4BGM」は、芯のあるメロディの裏で、狂おしいほどに暴れまわるドラマチックな弦楽器が、PSGで見事に表現されています。 それ以外の楽曲も、強弱表現などがかなり凝っていて、原曲をかなり意識していることを伺わせます。 そして、個人的にイチオシの「テトラスター」になると、ファミコンDPCMを使い、オケヒットをガシガシ鳴らして過剰な表現を試みています。 静かな曲も、ビブラートを効かせて情感たっぷりに聴かせてくれます。(個人的にはタイトル曲が一番好きなんだけど…残念ながらコレは未収録T_T)
そして、音源の表現力向上に伴い、今度はゲームミュージックならではの独自性を持ったアレンジが出てきます。 これに関しては、昔からコナミが特に強くて、古くはジャイラスで素晴らしいアレンジを聴かせてくれますが、その傾向はパロディウスシリーズで職人芸の域に達したように思えます。(そういえば、アーケード版ドラキュラって今回のアルバムで聴くとなんか異様に音が細い気がするんですが…以前出たアルバムではかなりエフェクトをかけてあったんですかね??)
そんなわけで、クラシックを題材としつつも、ゲームミュージックにおけるそのアプローチや音源の進化の変遷を追うことのできるこのアルバムは、サイトロンの最近のオムニバスアルバムでは一番面白いアルバムでした。 もうすぐ発売される(はずなんだけどたぶん延期だとbaddyさんはおっしゃってた^^;)ほぼ全機種入りアルバム「ボンバーマン・ザ・ミュージック」も期待したいと思います。(^^)