SONIC RUSH Original Groove Rush.

http://segadirect.jp/Catalog/ProductDetail.aspx?SKU=0101008-02925
というわけで、久々にゲームミュージックのレビューでございます。
旅行に行ってる間、11/23付近に発売されたCDがまとめて届きまして、旅先で買ってきたCDとあわせて凄いことになってるんですが(でも、「あかどこ」のCDは発送ミスで届いてないし、コナミゲームミュージックVOL.4はまたもや発送遅れてるし…T_T)、この中で今回紹介するのは、今回購入した中では全くノーマークだった「ソニックラッシュ」のサントラ盤です。
実は、ソニックのゲーム自体はどちらかというと苦手なほうで、メガドラ時代のやつもクリアしてないし、サントラが同梱されていたドリキャス版は見事に3D酔いしてゲームを放棄してしまいました…(T_T) そんなわけで、ゲームにはあまり良い思い出が無く、楽曲もそこまで思い入れがあるわけではありませんでした。 ただ、セガダイレクト専売ということで、とりあえず買っておこう…そんな感じで購入しました。
しかし、コレは大当たりでした。 様々な要素を含んだこのサウンドを私ごときが明確にカテゴライズするのは非常に難しいのですが、このサウンドを形容する言葉をあえて挙げるとすれば…「やんちゃ」でしょうか。 目をきらきらさせながら、持て余すエネルギーを発散させるべく無意味に外を駆け回る、好奇心旺盛だったやんちゃ坊主のあの頃。 このCDを聴いてると、そんなイメージが浮かんできます。 今年聴いた新作ゲームミュージックの中では、今のところイチオシの楽曲だと思います。(個人的には低音+みゅんみゅんサウンド+子供の掛け声ループでやんちゃ具合が非常に高い「Jeh Jeh Rocket」が一番ツボでした)
昨今のゲームミュージックは、映像に主導権を明け渡して裏方に徹したもの、逆にイメージを固定化させる為に映像に合わせた「お約束」的な展開となっているもの、映像と乖離していてゲームと全く合っていないもの、はたまた「音ゲー」用の曲として、完全にゲームの主導権を担っているもの…など、色々な形がありますが、ソニックラッシュの曲はそういった枠に囚われることなく、伸び伸びと音楽表現をしているように思えます。 かといって、散漫に作っているわけではなく、全体としては統一されたイメージとなっており、それこそジャケットのソニックのイラストにあるような、「ちょっと生意気なやんちゃ坊主」といった雰囲気が濃縮されており、とても痛快です。(実は、最初にこのソニックのイラストを見た時、天才バカボンに出てくる銃を撃ちまくる警官(名前忘れた^^;)を真っ先に思い浮かべたんですが、ソレは無かったことにしておきます)
そういえば、私の世代だとセガの楽曲といえばベース、ギター、メロディがしっかりしたフュージョンやロックっぽいサウンドをイメージしてしまいますが、ちょっとニュアンスは異なるものの、「エイリアンストーム」とか「ボナンザブラザーズ」あたりの楽曲に、こういう「やんちゃ」な雰囲気を汲み取ることもできるので、ある意味セガの色の1つなのかなぁ…と思いました。 あと、ソニックラッシュの中でヒットの音色や楽曲の雰囲気から、この作風はどっかで聴いた事あるなぁ…と思ってたんですが…思い出した。 「ジェットセットラジオ」の楽曲に非常に近いものを感じます。 …って、調べてみたら、ジェットセットラジオソニックラッシュの楽曲を作った方は同じ方でした。(^^;) そんなわけで、ジェットセットラジオの楽曲にビンビンきた方は特にオススメです。

以前、ゲームミュージックは生い立ちの環境から生まれる独自性が支持されたという背景があるので、独自性を失ったゲームミュージックは滅びの道を辿るしかない…といった事を書いたんですが、ソニックラッシュの曲を聴いて、まだまだゲームミュージックも捨てたもんじゃないな、と感じました。 制約が無くなった今こそ、むしろ既成の音楽ジャンルに囚われない、ゲームミュージックならではの、ゲームミュージックでしか有り得ない自由な表現に挑戦すべきなのではないかと。 そこに、今後「ゲームミュージック」というジャンルが真の意味で生き残る道筋が示されているように思えました。

なんだか色々書いてしまいましたけど、とにかく聴けば楽しくなるこのCD、文句なしにオススメです。 …そういえば、ゲームというものは元々「楽しい」ものであって、ゲーム創世記のゲームミュージック(SE)の要素の1つは、その「楽しさ」を具現化するものであったように思います。 ある意味、ソニックラッシュの音楽は、ゲームミュージックが歴史と共に進化する過程で背負ってきたものを一旦捨てて、純粋な形となって我々の目の前に現れたものなのかもしれない…そんな事を考えてしまう今日この頃です。