HUDSON Premium Audio Collection

(Amazon) HUDSON Premium Audio Collection


http://5pb.jp/records/release/detail/detail.php?records_product_code=VGCD-0091
というわけで、遂にオフィシャルで出ました。 私の趣味のお仕事、その2です。
このアルバムは、ハドソンのファミコンPC-Engine期の名曲が詰まったアルバムです。 …が、収録されているのはオリジナル音源バージョンではありません。(オリジナル音源版はサイトロンからリリースされたいくつかのアルバムに収録されていました) でも、ただのアレンジアルバムではありません。 全曲、当時の音色を使いつつも大幅にグレードアップアレンジされているんです! オリジナル曲のChiptuneで凄まじいテクニックを披露する人が現れたり、インディーズ流通などでこういう志向のアルバムもいくつか出ていましたし、昔から同人レベルではこういう文化が根付いていました。 最近では、J-POPなどを「8bitアレンジ」したアルバムもいくつか出ています。 しかし、メジャー流通で、しかも全曲ゲームミュージックChiptuneアレンジというのはほとんど例が無い…っていうか、もしかしたら初かもしれません。(ファミソン8BITはあくまで「アニソン」がメインですからね…ボーナストラックはゲームミュージックですが) …って、こういう音源が使われていたのはほとんどが昔のゲームミュージックのはずなのに、こういうコンセプトのアルバムが今までリリースされていなかったのがむしろ不思議です。
収録曲の中で、今回私は「迷宮組曲」のアレンジを行いました。 この曲を含め、数曲はオフィシャルサイトで試聴可能ですので、是非聴いてみてください。(気に入ったら是非買ってね^^)
それにしても、私の分の試聴トラックは一番アバンギャルドな部分なんですね…(^^;) もしかしたら気づかない方もいらっしゃるかもしれませんので書いておきますが、試聴ファイルのメインで鳴っている曲は「城内BGM1」です。 原曲は軽快なワルツ(ちゃ〜らら〜らら〜らら〜♪ってやつ)なんですが、何故か似ても似つかぬ形に変わっています。(^^;) これは何故かと申しますと…実は、この曲の主題は「城内BGM1」ではなく、「城内BGM2」(通称「井戸のテーマ」)のほうなんです。(試聴ファイルの最後にちょっとだけ入ってるやつ) 井戸のテーマをメインに最初は作ってたんですが、企画さんからのオーダーで「色んな曲を混ぜてください」ということになり、「それならメインBGM(城内BGM1)を入れないわけにはいかないだろう」ということになったんですが…ここで困った事が! 井戸のテーマは4拍子なんですが、メインBGMは3拍子。 しかも、井戸の和音構成が「ラドミ」なのに対し、メインBGMは「ソドミ」ということで、基音が違ってるんですよ。(なんか頭悪い書き方ですが、実は音楽&コード理論をあまり知らないのでご容赦ください) ということは、単に1音上げるだけでもダメ、しかも4拍子のリズムに3拍子は乗らない…さてどうしたものか??と。 最悪、ここだけ3拍子にしてしまえば良いのですが、それだと単なるメドレーになってしまって面白く無い。 せっかくだから、井戸のあの雰囲気のまま何時の間にか曲が変わってる…ってほうが面白いじゃないですか。 そこで色々考えた挙句、まずは4つ打ちのリズムは変えずにそのまま打ち込んでみました。 そこに乗せるメロは、裏拍を4つ打ちに合うシンコペーションにして無理矢理乗せ、問題のメロディラインに関しては、愛器GZ-5(カシオのミニキーボード)で微妙に音をずらしたメロを何度も弾いてみて、違和感が無い程度にメロディラインを変えてなんとか乗せてみました。 で、せっかくだからバッキングとしてボーナスステージの「ピポパポ」ってやつを三角波で入れてみたりなんかしてなんとか完成! 今まで色々なゲームミュージックをアレンジしてきましたが、こういうのは初の経験でえらい苦労しました…締切が迫ってたので、この部分のアレンジが閃くまでは胃に穴が開きそうでした。(T_T) でも、他の部分は概ね順調で、主題の「井戸のテーマ」の部分は、原曲の「怪しカッコいい」感じはそのままに、大幅にグレードアップしています。 個人的にはかいしんのいちげき!」って感じの作品です。 今までファミコン音源で作った作品の中では1,2を争うデキだと思います。(Famicompo mini に出していれば絶対上位を狙えたのになぁ…っていうか、この話が来なければ、この曲でFamicompoかFMPSGで出そうと思ってました) そんなわけで、是非ともお聴き戴ければと。
ちなみに、試聴ファイルのベースラインを聴いて気づいた方もいらっしゃるかと思いますが、実は今回、初めてVRC6を使いました。(VRC6は悪魔城伝説、MADARAなどのコナミファミコンソフトに搭載されていたチップで、デューティ比8段階の矩形波2音とノコギリ波1音を鳴らせます) この音源、ノコギリ波ベースにするとインパクト絶大で、矩形波もデューティ比が8段階あるおかげで、非常に細かい音色変化を出すことが出来る面白い音源です。 これからもちょくちょく使っていこうと思ってます。 …で、何故VRC6なのか?といいますと…ハドソンって昔からコナミと仲がよく、昔はコナミの「プーヤン」のファミコン版がハドソンから出ていたりしました。(今は結びつきが強くなりすぎてコナミのry) という繋がりで、「当時が今と同じ状況だったとして、ハドソンのゲームにコナミの音源が載っていたら?」というのが裏テーマだったりします…って、こんな事ライナーノーツに書けないw
私の曲ばっかり書いてもナンなので、他の曲も(マスター前のデータですが)いくつか聴かせて戴いてますので軽くインプレッションを。 「ファミソン8BIT」では、「ファミソン」の枠の中である程度抑え目な感もありますが、今回は各アレンジャーがいい意味で好き勝手やってます。 そんなわけで、どの曲もアレンジャーの個性が出ていて面白い仕上がりになっています。 細江さんの「チャレンジャー」はまさに「ファミコン」の音でありながら、イイ感じのアレンジに仕上がってます。(試聴では聴けませんが、細江さんのアレンジでも4拍子の途中で3拍子の曲が混ざる構成となっていて、そこの処理の仕方が私とはまた違っているので、聞き比べると面白いかと) PC-Engine系はどれもカッコイイ曲で、ちょっとこもり気味の波形メモリ+ローファイなPCM+アップテンポなメロディは、その時代を体験した人にとってはタマラナイ出来かと。 松前さんのリミックスも、基本的に原曲+SEのみのリミックスとなっており、ゲームミュージックイベント「LEGEND」の興奮が蘇ります。 あと、個人的にツボだったのが、小林さんの「ヘクター'87」アレンジ。(最近知ったんですが、どうやらSuperSweepの小林氏は、トルバドール時代から「宇宙ヤング」などをやっておられた「ずんば小林」氏のようです) イントロのベースラインを聴いた瞬間、飲みかけの茶を豪快に噴きましたw うわー、こんなアレンジ自分には絶対できない!(^^;) ずんばワールド全開でヤヴァいです、コレ。 そして、ある意味今回の目玉なのが「ボンバーキングのテーマ」。 なんと、ファミコン音色でアレンジされたトラックに高橋名人のヴォーカルが乗ってるんです! 高橋名人の唄も素晴らしいのですが、バックトラックのアレンジ具合が個人的にツボです。 ヤヴァい、カッコ良過ぎ!
そんなわけで、最強に愉快なアルバムになってます。 是非ともよろしくお願いいたします。m(_ _)m