世界樹の迷宮III 星海の来訪者 オリジナル・サウンドトラック

(Amazon) 「世界樹の迷宮III 星海の来訪者」オリジナル・サウンドトラック


結構前に5pb.さんから戴いてたんですが、色々あってご紹介が遅れてすみません。m(_ _)m
というわけで、古代祐三氏のFM音源音色が炸裂する「世界樹の迷宮」の最新作のサントラが発売されました! 今回も期待を裏切りません! 古代祐三氏のファンなら「鉄板」でしょう! とりあえず買っとけ!!と。
今回も、前作までと同様にPC-88で作ったFM音源音色をメインに、古代氏の美しいメロや激しいボス曲などを存分に堪能できます。 サウンドトラックには、ゲーム収録のDS音源版に加え、開発機材のオリジナルであるPC-88版も全曲収録されています。(ライナーノーツには各楽曲のコメントも載ってます)
今作の楽曲で特に耳を奪われたのが、音源の使い方です。 それは、PC-88のFM音源を単純再現するのみならず、そこから一歩進んだ表現を含めて、の評価です。
音色の元となっているPC-88のFM音源は、今の音源と比べるとかなり制約があります。 初代「世界樹の迷宮」では、その制限も含めて「PC-88で鳴っている感」を再現しようという方向性を強く感じましたが、今作ではそこから一歩踏み込んで「PC-88のスペックが正常進化したらこんな感じ」といったふうな趣があります。 具体的には、PCMパートの細やかな表現…例えば、ストリングスの肌を撫でるような優しい音色、バトル曲の派手なドラム音色、FM音色の隙間に巧みに挟み込まれた、音の厚みを増す為のシンセ音色…あたりでしょうか。(同じくFM音源の魔術師である梅本竜先生も、近年のアルバムでは「YM2609バージョン」などとしてこれに近い手法を取り入れていますね) これらは、PC-88のFM(ADPCM)音源スペックから考えると、実機ではここまでの表現は出来ないはずです。 これが出来るようになったのは、明らかに「今の音源だからこそ」です。 しかし、それらの表現は元々のコンセプトである「PC-88のFM音源の手触り」を破壊するものではなく、あくまでそれらをアシストするものでしかありません。 しかし、あるのと無いのでは恐らく大きく印象が変わると思います。 言うなれば、「心地よい虚構」がそこにはあります。 この絶妙な匙加減は、PC-88時代のゲームミュージック界のメインストリームで活躍後、様々なフィールドで多種多様な音楽に挑戦した古代氏ならではだと思います。
ただ、少しだけ残念だったのが、DS音源バージョンのほうです。 これは過去のアルバムでもその傾向が強かったのですが、DS音源の制約上、どうしてもその繊細さが完全に再現しきれていない印象があります。(アルバム構成上、PC-88バージョンを先に持ってきているのもこの為だと思います) 今回は特に、オープニング曲などで音質劣化が激しいように思えます。(ゲームをプレイしていないのでわからないのですが、音質からいって恐らくムービーと一緒にストリームで演奏しているのではないかと推測) なので、このアルバムはむしろ実際のゲームで曲を気に入ったファンにこそ聴いて欲しいアルバムだと思います。 そこには、ゲーム版では味わえない、本当に古代氏が伝えたかった楽曲群がPC-88バージョンとして収録されています。 未聴の方は是非!!