M3-2009秋 終了。

というわけで、遅くなりましたが10/11に行われましたM3-2009秋でFMPSGブースにお越しくださった皆様、本当にありがとうございました。m(_ _)m
あれから数日経ちましたが…なんだかわかりませんが喉の奥がイガラッチョ!してます。(T_T) なんかデカいエヘン虫が常駐してる感じで…コレで熱でもあればすぐ病院に行くんですが、何故か熱は無い…んだけど喉痛い。(T_T) 気持ち悪いので、明日もこんな感じだったら病院に行こうかなぁ…イヤンな感じの今日この頃です。
さて、M3の総括ですが…とにかく会場が変わったことによる不便さが想像を遥かに超えていて、本来疲れなくてもいいところで余計に疲れた感じ。(T_T) 今回の会場、外見は綺麗なんですよ、本当に。 目の前には海も広がってて観光するには最高。 今回、早く会場に着いたので、暫く外で写真撮ったりしてましたもんw



…ところが! 実際に会場に入ってみると、本当に色々と困ったことが。 既にあちこちに挙がっているとは思いますが、私個人が感じたこと&と友人や近隣のサークルさんと話してて出た意見は概ね以下のとおりです。

・会場が意外と遠い
最初は前の蒲田PiOより少し遠いかな?程度だと思ったんですが…困ったのがサークル入場口が正面入り口の正反対にあること! 今回は時間に余裕があったので問題ありませんでしたが、ゆっくり歩くと正面入り口から入場まで5分近くかかるかも…? ゲートクローズ寸前に来ると締め出される可能性があるので、今後参加を考えているサークルさんは、時間の余裕を見て来たほうが良いと思います。

・ブースが異様に狭い
今回の疲れの一番の原因がコレ! 最初の案内で「追加椅子が無い」って聞いた時点で「実はかなり狭いのでは?」と薄々感づいてはいたんですが…実際に行ってみると想像を遥かに超える狭さ! 1スペースに椅子2脚どころか、売り子が横に二人並ぶのも厳しい! FMPSGは今回売り子2名体制だったので、とても椅子に座れる状況ではなく、結局ずっと立ちっぱなしだったんですが…そうなった時に今度は椅子が邪魔に!(T_T) どけようと思っても折りたたみ式ではないのでどけられやしねぇの。 こんな狭さじゃぁもう椅子いらねぇよ!(-へ-メ)って感じ。 また、机の形状の関係で「持ち込み可能な容積が増えた」とおっしゃってましたが、これは縦に積めるスペースが増えたという意味なので、そうじゃない荷物(要は当日の個人持ちの鞄とかカートとか諸々)の置き場所に本当に困ってしまいました。 次回からは持ち込む荷物も色々と精査しないとダメそう。 FMPSGは活動6年でアルバム12枚+1(PreviewDX)があり、一応全部毎回持ってきているわけですが…このスペースだとそれらを全部紹介するのも厳しい感じです。 ディスプレイや荷物諸々の問題は、色々と対策を考えないといけませんねぇ…

・ていうか会場自体が狭くね?
スペース数が増えたということで、だだっ広い会場を期待してたんですが…ざっと見た感じ、PiOの1F大展とほとんど変わらないんでないかい? …というか、1フロアに集約した分、今回のほうが実質狭いのでは??と思ってしまいました。

・やたらと暑い(湿度が高い)
もちろん、サークル側の売り子さんやお客さんが大挙して来ればそれなりに暑くなるのは当然ですが、海に囲まれたロケーションのせいか、10月であることを考えると過剰にジメジメして暑かった気がします。

・会場が暗い
恐らく大さん橋ホールの設計(ウリ)としてこうなっているんでしょうが、舞台(があるであろう部分)がオーシャンビューになっている代わりに、会場の照明が異様に暗いです。 作業に支障が出るほどではないんですが、ぶらはさんのブースように外光が入る位置と正対位置にあると逆光で相当眩しそうです。

・ウッドデッキが怖い
床がウッドデッキになっていてオシャレ?なんですが(というか個人的には学校の便所のスノコを思い出したw)、困ったことに木の隙間に物が落ちるとまず取れません。 実際、近隣サークルでお釣りの小銭やサークルチケットを落として困っているのを見かけました。 即売会で使うのなら、上にシート等をひいて隙間を塞ぐべきです。

・なんか揺れるんですが…
ウッドデッキのせいか、海の上のせいなのかはわかりませんが、ずーっと会場が微妙に揺れてんの。 なんとか大丈夫でしたが、もっと人が増えるとホールにいるのに船酔いするんじゃないかと思ったよ、マジで。(T_T) というか、人が1箇所に大挙して押し寄せたときに、本当に床抜けちゃうんじゃないかと思った。

という感じで、会場がPiOから大さん橋に移ったメリットは(サークル参加者としては)ほぼ皆無、といった状況でした。 この状況から察するに、PiOから移ったのはグレードアップの為ではなく、追い出されてしまったのでは?と思ってしまいます。 そうなると会場をPiOに戻すのは厳しいと思いますので、もう暫くは大さん橋で開催になると思うのですが…この会場じゃぁちょっと(いや、かなり)辛いなぁ。(T_T) はっきり云ってこの会場は即売会向きじゃないってのは嫌というほどわかりました。 本当は前の会場に戻していただくのが良いのですが、ここで開催するつもりなら、せめて安全対策(ウッドデッキの隙間を塞ぐとか、人が集まっても床が抜けないことをちゃんと確認してもらうとか)はちゃんとやって欲しいです。 …はぁ、なんか疲れたよ。(T_T)

M3で入手したお気に入りCD

というわけで、色々と買ったり戴いたりしてきました。 まだ全部聴けていないんですが、「コレはっ!」というものをいくつかご紹介します。



(Amazon) まもるクンは呪われてしまった! アレンジトラックス


というわけで、以前から当ブログでも絶賛し、勢い余って同人誌を作って作曲者の安井さんにインタビューまでしまったほど大好きな「まもるクン〜」の曲なんですが、まさかのフルアレンジバージョンアルバムが登場! …というか、実質「XBOX360版『まもるクン〜』サウンドトラック」です。(XBOX360版は音楽がオリジナルとアレンジバージョンが選択でき、ここに収録されているのはXBOX360版で新たに作られたアレンジバージョンのほうです) ただ、実際のゲームで違和感無く聴けるよう、アレンジによる「壊し具合」はかなり控えめで、どちらかというと「グレードアップバージョン」というほうがしっくり来るかも。 各楽曲とも原曲のテイストを色濃く残しつつ、音色の差し替え&エフェクトがかかってより音に広がりが出た印象です。(その分、原曲よりメロが控えめに感じてしまうのが惜しい) shun._せんせのうちでゲームをプレイしたときに聴いた感じではさほど違いが感じられなかったんですが、今回出たサントラをヘッドホンで聴いてみると、各パートで細かくパンが振られていて、その位置で自己主張をしているのが明確で非常に心地良いです。 原曲とはまた違った面白さがあるので、是非原曲と聞き比べてみると良いでしょう。(個人的には、もっと徹底的にぶっ壊したアレンジも聴いてみたいですが…安井さんお得意の「ベアナックルIII」風みたいなw)
あと、今回のサントラでもう1つ注目すべきなのはブックレット! 作曲者の安井さんが「昔のゲームミュージックサントラを意識してこだわって作った」とおっしゃってたんですが、全楽曲のライナーノーツと楽譜(1曲)がついてます。 …いやぁ、色々とわかってるなぁ。(^^) こういう「お約束」ネタって、80〜90年代ゲームミュージック好きのある種共通言語みたいな。 ライナーノーツを見ていると、楽曲が出来た背景などが垣間見えて面白いです。(私が気づかなかった元ネタなんかを匂わせる発言があったりとか) あと、譜面に関しては、安井さんから「間違いが無いかどうか確認してくださいw」とか云われたんですが…いや、ゲームミュージックアルバムについてる譜面は間違っててナンボでしょう!とw もし、それを踏まえてわざわざ間違いを仕込んでるとしたら凄いですね〜 そのうち「間違い探し」もやってみたいですw

KIZANさんのCDいろいろ


今回、珍しくM3のカタログを事前に買っていったんですが、巻末のキーワードを見ると「Chiptune」というタグを登録していたサークルはうちも含めてたったの3つ。 ちょっと寂しいなぁ…と思いつつ訪れたのが、「Chiptune」を掲げている貴重なサークルの1つ「KIZAN」さんです。 実はKIZANさんはFMPSGのことをご存知で、普通にCDを買おうと思っていたら逆に何枚か戴いてしまいました…どうもありがとうございますm(_ _)m
KIZANさんでやっている音楽は、FMPSGよりももっとストレートなまさに「Chiptune」で、nanoloopを使って表現したGABBA的な音楽は、リスナーに媚びないある種ストイックな出来になっています。(なので、FMPSG以上に恐らく聴く人を選ぶ作品だと思います) nanoloop+GB音源らしい「これこそChiptuneだ!」的な音が印象的でした。 ただ、「GABBA」という側面から見ると、もう少しぶっ壊したほうが面白いかも?と思いました。 原因の1つが「キックが軽い」ことなんじゃないかなー…GB音源はあまりいじった事が無いのですが、ファミコンだったら三角波キックの破壊力が猛烈なので、例えばGB音源の波形メモリ部を三角波にして、そこにキックをやらせてみるとか。(nanoloopで出来るのかどうかはわかりませんが…) あとは、矩形波もデューティ比を高速切り替えするとか、高速アルペジオを使って音階を色々切り替えるとかしてみると、もっとぶっ壊れた雰囲気が出て良いかも、と思いました。



Underground Lovers / 文鳥Online。

実は今回、FMPSG012にもご参加戴いた「しの」(FMPSGでは「shino」名義)さんのサークルのアルバムです。 東方系はあんまり詳しくないんですが、しのさんのアレンジではよくSCC音色が使われており、今作でもその手の音が楽しめます…が、なんと云っても「ネイティブストライカー」が超反則www(実は前回プレビュー版を戴いてたのでネタは知ってたんですが…改めて聴いてまた噴いたw) いやぁ、よくわかってらっしゃる!(何 ナイスト好きなら聴いた瞬間噴くので覚悟してくださいw
ちなみに、最初に書いたFMPSG012のshinoさんの曲! これがまたもー!! 超SCCしていて超最高なのでこちらも是非!!!


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とおくできこえるデンシオン
最近、CD屋とかで全く知らないアーティストのアルバムでも、何故か惹かれて買ってしまうことがあります。 思いっきりハズれな事もあるんですが(^^;)、中には凄くお気に入りで「大当たり」なことも少なくありません。 そんな直感を信じて買ったアルバムがコレ。 サークル名(最初はアルバムタイトルだと思ってたのは内緒^^;)を見て「エレクトロニカ系か?」と思ってたところ、実際聴いてみるとそうではありませんでした…が、楽曲は超お気に入りで結果オーライ!直感バンザイ!!といった感じで、今回のM3で一番の収穫かも。 簡単に書くと、大島ミチル風…というか、もっと具体的に書くと「ICO」のテーマ曲とか、「ワーズワースの冒険」のテーマ曲みたいな雰囲気。 1曲目を聴いた瞬間、その世界に引き込まれてゾクゾク来ました! こういう世界観は大好きです。 このアルバムは全編ヴォーカル曲で、どうやらVOCALOIDによるものらしいのですが…この声が物凄く世界観にマッチしてるんですよ。(「初音ミク」のようなアイドル声とはちょっと違う感じですが…違う種類なのかな?) 流石に無茶をして発音が途切れ途切れになっている箇所があるのが惜しいところですが、それ以外はとても良く出来ていると思います。(この声が出るVOCALOIDならちょっと欲しいかも) もう何度も聴いてますが、飽きませんねぇ。 聴いている間、目の前に異世界のビジョンが広がる…それくらいの説得力がこのアルバムにはあると思います。 他の作品も聴いてみたい!

メイドさんベスト!!復刻盤
このタイトルにピンと来たあなたは(以下略)ということで、M3のカタログを見ていて偶然見つけた「田所広成」の文字。 関わった会社のWebサイトもここ数年更新が途絶えており、行方不明?との噂も耳にしたので「え?ええっっ??」と半信半疑でそのブースに向かうと…なんと(たぶん)ご本人様が鎮座しているじゃぁありませんか!!(確認してませんが、あの風貌はネット上で何度か見た写真のその人に間違いないと思います) 田所氏といえば、大昔からゲーム業界(主にアダルト方面)にいらっしゃった方で、数々の問題作を世に問うてきたわけですが、そこで発表された「エロくておバカで気持ちいい音楽」の数々をアルバム化したのが「メイドさんベスト!!」でした。 …っても、私自身はその手のゲームはほとんどやってない(のに加え、田所氏の最近の作品はトンガリ過ぎていて多分私の好みじゃない)のですが、このアルバムは数年前にヤフオクで見つけて、魔がさして思わず買ってみたところ…超ハマった。 放送禁止用語がバンバン出てくるので、エロ耐性が無い人には勧めませんが、そうじゃなければ死ぬまでに一度は聴いておくべき! とにかく楽しいです。 世間的には「メイドさんロックンロール」が一番人気らしいのですが、個人的には「メイドさんパラパラ」と「せいしをかけろ」がお気に入り。 特に後者のバカバカしさといったらもー!(※何故表記が平仮名なのかはお察しください) あと、最後の「メイドさんレゲエ」で「○o○○ってすばらしい」というのをリピートで聴いていると「あぁ、イイなぁ〜」と。 幸せになれますw ちなみに、今回の「復刻盤」では新曲2曲追加収録&歌詞付き! この曲のオフィシャルな歌詞がついてしまうなんて…革新的!!みたいな。 ていうか、ブックレット見て気づいたんですが、続編が出る…っていうかもう出てるの?? ヤヴァい、超聴きたい!!
ちなみに、田所氏とちょっとだけお話したんですが…個人的に今までの行動から物凄くアナーキーな方でトガりまくってるのかと思いきや…意外にも普通のおじさんでした。(^^;) 最近のことについて訪ねると「それはちょっと勘弁してください…」みたいな感じで、色々とあるんだろうな…と思わずにはおれませんが(^^;)、ご健在なようでなによりです。 この方は、過去にエロゲーメーカーを立ち上げては頓挫(追放?)の繰り返し…というイメージが強く、音楽も「メイドさん〜」シリーズが受けたせいでイロモノ的キャラクターの印象が強いんですが、その実は本当に音楽が好きな方なんじゃないかなー、と。 実はゲーム業界にもかなり昔(少なくともファミコン時代)から関わっているようで、GMCLにもファミコンゲームのコンポーザとしてちゃんと名前が載ってる! 出世作メイドさん〜」も、イロモノ的印象が強いんですが、リスペクト対象が明確で聴いていて楽しいです。(きっとレコーディングの時も悪ノリして笑いながら収録してたんじゃないかと推測) 実際、今回の「復刻盤」ライナーノーツでは、(恐らく)田所氏自ら「この曲は○○っぽさを狙って…」「この場面は○○をリスペクト」みたいなのが何度も出てきます。 また、イロモノ曲以外も名曲が沢山あります。(○姉妹のゲームを普通に持ってますが、曲いいじゃん! 当時エロゲーっぽくないってあちこちで叩かれてましたけど) なかなか表舞台に出られない事情とかあるんでしょうが、田所氏には今後とも楽しい音楽をバンバン作って戴きたい次第です。

PC-Engineの音楽は何故ショボいのか?についての考察。

元々は、FMPSGメンバーでもあるDarios Sawmさんの日記(2009/10/08)が発端でした。


ファミコンの拡張音源の一つであるVRC6(※本来、VRCとしての機能がメインであり音源はオマケ)を使用している楽曲は総じて迫力もゴージャス感も十分であると私は感じるのだが、PCエンジンの内蔵音源であるHuC6280を用いた楽曲は迫力に乏しく頼りない雰囲気のものが多い。これは何故なのだろうか?。
これは私も超同感。 特にMSXユーザであれば、比較対象として同じ波形メモリの「SCC」が筆頭に上がるわけですが、同じ波形メモリ音源なのにも関わらず、PC-Engineゲームミュージックはイマイチ印象が弱い気がすると思っていました。 それは何故だろう…?と。 色々と考えてみたのですが、その後、国王さんが日記でレスを返しています。 それによれば…

ひとまず考え付く原因は、各音源のユーザー層の違い(VRC6使いは総じてヘビーユーザーである)くらいでしょうか。音源に対する思いが、曲の仕上がりに表れると。
との事。 正直なところ、PC-Engineの自作曲(同人音楽等)をあまり聴いたことが無いので、正しいかどうかはわからないのですが、「VRC6使いは総じてヘビーユーザー」という可能性はありそうな気がします。(最近はTrackerもVRC6に対応したそうですし、Famicompo miniの作品を聴く限りは確かにレベルの高いものが多い) ただ、市販ゲームの音楽という側面で見れば単純比較は出来ないのかも。(少なくとも、VRC6搭載ゲームの音楽はどれも素晴らしいものだったのは疑いようも無い事実ですが)
…で、更にDarios Sawmさんの日記(2009/10/13)に、これまたFMPSGのChabinnさんの見解が記されていました。

RP2A03+VRC6が良く聞こえるのはノイズも含めた時の発音数の多さと三角波が鍵を握っているのでは?
ということで、これを踏まえてDarios Sawmさんは特に三角波の強みがあるのでは?という部分を強調していました。 確かに、ファミコン三角波は独特で、低音で鳴らすと発音の重さと同時に独特のノイズ(ギュイーンという感じの音)で唯一無二の味わいが出ます。 また、高音で鳴らすと柔らかく心地よい音を奏で、これもまたイイ!
ただ、三角波には唯一かつ最大の欠点があります。 それは「音量調整ができない」こと! 恐らく、矩形波の中間音量(=V8前後)でバランスが合うよう設計されていると思うのですが、三角波ベースを強調させたい場合、(三角波をパラで録音して増強させる等しない場合は)矩形波等の最大音量を下げてやらないといけません。 しかし、矩形波の音量を下げてしまうと、ダイナミックレンジが確保できず、表情に乏しい曲となってしまう可能性があります。(三角波ベースといえば「サマーカーニバル'92 烈火」の曲なんかもベースラインが肝なんですが、ベースラインの音量を確保すべく、相対的に他のパートの音量を極限まで下げている感があります) 私個人の意見として、三角波の音量操作が出来ていれば、ファミコンミュージックの歴史は変わっていたのでは?と思えてなりません。 まぁ、三角波の音量制限を克服するのも、ファミコンミュージックという制限音楽の楽しみの1つではあるのですが…
で、他の方の見解は上記のとおりなのですが…私は、この問題?は音源性能の違いだけではない気がしています。 答えはもっと単純で、コナミの持つ資産やノウハウが平均的なPC-Engineの音楽と比べて遥かに上回っていた、という部分が根源ではないかと思っています。
まず、比較対象として挙がっていたVRC6+2A03ですが…VRC6は設計の段階からファミコン内蔵音源との親和性」を保ちつつ、「よりゴージャスに聴こえる」よう、緻密に計算して作っている音源という印象があります。 新たに追加された鋸波は、ファミコンのデューティ比が極端な音色に割と鳴りが近いんですが、それとはまた違った癖のある音源で、ベースライン等に使うと独特の存在感を示します。 また、追加された矩形波2音はファミコン内蔵音源の矩形波の上位互換ともいうべきもので、ファミコン矩形波デューティ比3段階(一応4段階だが、25%と75%はほぼ同一に聴こえる)に対してVRC6では8段階のデューティ比となっており、ファミコン内蔵と似た音ながら、よりキメの細かい表現が可能です。 つまり、VRC6は「ファミコンらしさとゴージャスさを両立する音源」として設計されている以上、どう使おうとスカスカな音楽には成り得ません。 もはや設計の段階でアドバンテージがある、と。
対してPC-Engineですが…波形メモリは一見自由に音作りできそうですが、実は(何も知らないと)音色を作る段階からして非常に難しいのです。 まず何をやれば良いのかがわからない! 私も大昔、SCCで音色を作ったりする際にどうすれば良いのかわからず、ひたすら方眼紙に模様を描いては片っ端からデータ化し、それを使っていました。 それでも、「使える」音は数十個に1個くらい。 ノウハウが無いと、そもそも音色作りの段階で頓挫してしまいます。 同じ波形メモリ音源としてSCCがありますが、こちらはPC-Engineと比べて段違いの表現力があるように思えます…が、同じ波形メモリであれば(分解能は異なると思いますが)同じ波形をぶち込めばほぼ同じ音が鳴るはず。 それが鳴らないのは、PC-Engineのゲームを作るベンダーに波形メモリ音色ライブラリが揃っていない、あるいはノウハウが無い状態だったのでは?と推測できます。
SCCに関しては、以前某マガの企画でSCC開発者の一人であるピストン上原氏にインタビューしたことがあるんですが、その際に出てきた資料を拝見すると、当時の苦労と熱意を窺い知ることができます。 バインダーからはみ出るほどに挟まれていたのは、SCCの波形を描いたと思われる紙! それは恐らく試行錯誤の連続だったのでは?と推測されます。 当時、SCC初搭載のゲーム「グラディウス2」が発売されたとき、ユーザはそのゴージャスな音色に度肝を抜かれたのですが、それは練りこまれた音色(と壮絶な打ち込みテクニック)に裏打ちされたものだからなんだと思います。 それに対して、PC-Engineでは、ベンダーにそこまでのノウハウが無かった為、総じて「ショボい」とされる音が多かったのではないか…と。
ただ、PC-Engineでも非常にデキの良い音楽は存在します。 私の知っている範囲だと、まず「マジカルチェイス」の音楽。 音色から打ち込みテクニックまでとにかく徹底しており、軽快かつドラマチックな楽曲自体のデキとも相まって、個人的にはPC-Engineでナンバーワンだと思っています。 それと、ファルコムから出ていた「風の伝説ザナドゥII」の内蔵音源音楽。 初代はかなりショボい感じだったのですが、「II」のサントラを聴いた時には度肝を抜かれました。 PC-Engineのはずなのに、出音の音色や特徴はまさにコナミのSCCそのもの! 「このゲームは外注でコナミが作ってるんじゃないか??」と当時はかなり本気で思ったくらいです。(後日、ある方に伺った話だと、この曲の楽曲担当者はコナミの音を研究し尽くして作っていたとの事) つまり、音源が違うから音がショボイわけじゃない、やればちゃんと出来るんだ!ってことです。

というわけで、私の見解をまとめるとこんな感じです。

  1. VRC6がゴージャスなのは設計段階でそうなるよう計算されているから
  2. PC-EngineがSCCと比べてショボいのは音色ライブラリやノウハウの差
  3. PC-Engineだからできないのではなく、やろうと思えばちゃんと出来る

ただ、SCCとPC-Engineの波形メモリ音源はもちろん設計も違いますし、音が出力されるまでの回路によって劣化の仕方が違ったりもするでしょうから、「音源自体の性能差」ってのも興味があります。 できれば、PC-EngineとSCCで全く同じ音色を鳴らしてみて、どう違って聴こえるか…ってのを見て(聴いて)みたいところではあります。(PC-Engineは手元に環境が無いので試せません…誰か試して!^^;)

他にも色々書きたいことはあるんですが、今日はとりあえずこのへんで。