Famicompo mini vol.2 エントリー作品公開

http://midr2.under.jp/compo/vol2/
というわけで、M3が忙しくて忘れかけてましたが(^^;)、ファミコン音源による音楽コンテスト「Famicompo mini vol.2」のエントリー作品が遂に公開されました!(私も参加してますが、どの曲かは内緒…っていうか、異臭を放ってるのでバレバレかもしれませんが^^; 念のため書いておきますが、「蠍火」を作ったのは私ではありません^^;)
早速ダウンロードして聴いてますが…凄いですね。 ただベタ打ちしてるだけ、という作品はほとんど無く、皆さん随所にテクニックを注ぎ込んで素晴らしい作品に仕上がってます。 全体的には、底上げされてきてだんだんレベルが上がっているように感じます。
で、今回はオリジナル部門とカヴァー部門に分かれているんですが、両者を比べると応募作品の傾向にハッキリとした違いが表れてます。 まず、オリジナル部門はほとんどが内蔵音源であるのに対して、カヴァー部門は拡張音源を使ったものが割と多いです。(でも、思ったよりは少なかったですね…やっぱり使いこなすのが難しいので敬遠しがちなのかな?) 個人的には、MMC5 や VRC6 はともかく、N106 や VRC7 になるともはやファミコンの音ではなくなってしまうのでファミコンで鳴らす意義が薄れる気はしているのですが…ファミコンの枠に囚われず、ppmck を核として様々なチップチューン系音楽を試すのであれば最適な環境なのかもしれませんけどね。
カヴァー部門は、ゲームミュージックが中心になると思いきや…他に歌謡曲・ポップス・ハードロック・洋楽など色々なジャンル?にバラけてます。 バラエティに富んでおり、聴いてて楽しかったです。(^^) また、皆さんピッチベンド表現が凝ってきたなぁ、というのを全体的に感じました。(MCKにはEP以外にピッチベンドコマンドが無いはずなのに…) 私も MSX の PSG で曲を作ってた頃からピッチベンドは重要視していて、MSX-BASIC で曲を作っているにも関わらず、わざわざタイマ割り込みでピッチベンドをかけるルーチンを作ってたりしました。 ちなみに、ピッチベンド(ポルタメント)のことを仲間内では「うにょ〜ん」と呼んでましたっけ。(w
対してオリジナル部門。 …こちらは驚きました。 正直申しますと、音源の使いこなしセンスや技術力は、全体的にオリジナル部門のほうが上に感じました。 内蔵音源のみであるにも関わらず、「聴かせる為のテクニック」が、リスナーの印象に残る非常に的確な位置で使われているといった印象があります。

今回、カヴァー部門とオリジナルが部門が別れていますが、改めてオリジナルとカヴァーでのデータ作成時のアプローチの違いに気づかされた気がします。 ちなみに、私はカヴァー擁護派(ってあるのか?^^;)ですが、オリジナルの作曲ができる人は非常に尊敬しています。(もちろん、オリジナルはダメだとか云う気は毛頭ありませんので誤解無きよう) 私なんぞはちょっとトラウマがあってなかなか作曲できない人ですので… ただ、このように「限られた環境下で聴かせるテクニック」となると、オリジナルとかカヴァーであるということはあまり意味を持たないと思っています。 むしろ、「オリジナル(カヴァーの原曲)の壁」がある分だけ、カヴァー曲のほうが難しい気がしてきました。
カヴァー曲の原曲は、初期のゲームミュージックや一部の曲を除き、少ない音で鳴らすことを想定していません。 そうなると、完全再現はまず無理なので、作り手は取捨選択を迫られることになります。 一部のパートを完全に殺ぎ落とすとか、全く違うアレンジに変えるとか、あるいはムチャなことをしてみるとか。(^^;) 拡張音源を使った作品が多いのも、「原曲のパート数に近づける為には、内蔵音源だと音数が足りない」という部分から来ているのでしょう。 でも、むしろこういう要素があるからこそ、カヴァー曲のチップチューンは面白いとも云えます。 「原曲がどのように生まれ変わるか、あるいはどこまで再現できるか?」という部分において、データ作者の技術とセンスが問われるわけですから。
一方、オリジナル楽曲の場合、原曲の制約が無いので自由に作ることができます。 つまり、最初っから少ない音数を使って鳴らしたり、効果的なギミックを入れる個所まで考えてデータ作成をすることが出来ると思うのです。 そうなると、そこまで考えて作れる人にとっては、オリジナルのほうに分があるような気がします。
ただ、カヴァー曲の場合、「原曲のファンがその思い入れによって(データの出来とは関係無しに)支持してしまう可能性がある」ということは昔から云われています。 まぁ、実際に前回の「だいすけ」なんかはそういう状態に陥ってしまいましたし。(T_T) 今回のデータでも、拡張音源を単純に「音数を増やす」といった目的だけに使っているような曲も見受けられます。 多分、オリジナル曲を作る作者から見れば、「原曲の人気におんぶにだっこ状態で全然ダメじゃないか」という意見があろうかと思います。 それは正しい場合もありますが、そうとも限りません。 ファン層が広い曲であればそういう可能性も否定できませんが、カヴァー曲だからといって、全ての人が知ってる曲とは限りません。 誰も知らないカヴァー曲であれば、チップチューンアレンジという土俵に持ってきた場合には全く意味を持ちません。 また、皆さんが知っているカヴァー曲であったところで、楽曲自体のレベルが高ければ評価は得られますけど、逆にレベルが低い場合だと、カヴァー曲の原曲のファンからしてみれば、全然ダメという評価になろうかと思います。 Famicompo 初代の優勝者である「Chibi-Tech」氏の楽曲「MikoMiko-Nurse」は、Chiptuneとは無関係の人から注目を浴びすぎた為に優勝してしまったと批判を浴びた時期がありましたが、私は原曲を知りませんけどアレが今まで聴いた曲の中で一番凄いと思ってます。 たった5音しか鳴らない音源にこれでもかと詰め込まれたテクニックは、明らかに他の追随を許さないレベルでした。 私にとっては、あの曲こそ究極の完成形で、それを目標にデータを作っていると云っても過言ではありません。(でも一生追いつけないだろうけど…^^;)
「カヴァー曲は人気にあやかって云々」みたいな事を云われると非常にクヤシイので、カヴァー曲でも手を抜かずに全力で作っていきたいと思う今日この頃です。