コンピュータが奏でる音楽は無機質か否か

昨日、FFXのエンディング曲をファミコン音源で作ったやつを公開しました。 喜んで戴けたりした人もいた反面、結構厳しい事も書かれてたりなんかして、なるほど…と唸ったりなんかして。 特に多かったのが、「ビブラートがキツ過ぎる」というご意見。 コレって前にも何度か云われたことがあるんですが、コレばっかりは私の好みなのでついつい強めにかけちゃうんですよね。(^^;) そういえば、ビブラートもそうだし、全体的に音量が大きめなのも、パルセラで大袈裟にわかりやすいオチをつけるのも、基本的にはなんか濃いぃのが好き…というか、激しくサービス過剰なのかなぁ、なんて思った。 多分胸焼けを起こす人も多いと思いますが、やっぱり私が好きなものを好きなように作ってるので、合わない人はゴメンナサイ…ということになってしまうんでしょうか。 ただ、今作ってるのがベストだとはこれっぽっちも思ってないので、今後色々な表現を模索していって、もっと良いものを作っていければよいなぁ、と思ってます。

…で、前置きが長くなりましたが本題。
ファミコンに限らず、コンピュータで作った音楽に対して昔から云われているのは「生身の人間の演奏には勝てない」とか「心がこもってない」というご意見。 これは半分は当たりですが、半分は大ハズれだと思ってます。
確かに、生身の人間が唄ったり楽器を演奏したほうが、コンピュータで打ち込んだ音楽より細かいニュアンスが表現できます。 これは、いくらコンピュータが頑張ったところで、今のところ人間の演奏には敵わないでしょう。 ただ、コンピュータはその分、人間の演奏では表現できないような音を出したり、正確な演奏をさせる事に関しては間違いなく勝っています。 要は、器として得意分野が違っているので単純比較はできない、という事なんだと思います。
で、大ハズれな部分。 「コンピュータの演奏には心がこもっていない」という意見は、私は間違っていると思います。 確かに、先ほど書いた「正確さ」という部分はコンピュータの演奏の特徴ですし、場合によっては「人間味をカットした無機質な音楽」も簡単に作ることができます。 しかし、それを「コンピュータが演奏する音楽は心がこもっていない」と言い切ってしまうのは大間違いです。 確かに、そういう音楽はコンピュータの得意分野ですし、人間味あふれる音楽を作るのは色々と面倒くさいのも事実です。 だけど、コンピュータ用の音楽データを作るのは人間です。 より凝ったことをしようとすればするほど、その人の個性や人間味が出てくるようになるはずです。 結局は、コンピュータは演奏者が表現する為に使う楽器の1つに過ぎません。
私が未だにやっている、いわゆる「チップチューン」というカテゴリに属する音楽は、実は割と作者の個性が出る音楽でもあります。 基本的に、チップチューンはコンピュータ音楽の中では最も制限のキツい音楽になると思います。 しかし、その制限が明確だからこそ、この枠で本気で音楽をやろうという人は、それを乗り越える為の技術やセンスで様々なアプローチを取るわけで、そこに個性が出てくるわけです。 こうなると、私が作るデータも含め、たとえ匿名でも「これは○○さんの作った曲に違いない」とまでわかるようになります。(例えば、先日開かれた「とりあえず無茶な曲をPSGで再現しよう!」では、同じ曲に対して、たった3音しか出ない音源を使った各作者のアプローチが驚くほど違っています。 それぞれの作者の個性と情熱がこれでもかと滲み出ており、曲を通じて各作者の性格なんかまで見えてくるような…そんな気がします) こうなると、単に「心がこもってない音楽」なんて口が裂けても云えません。
ちなみに、別に私はチップチューンばっかりやってるわけではなくて、クラリネットを吹いたり唄ったり、生身の音楽も好きです。 両方とも、それぞれに良さがあります。 そんなわけで、コンピュータ音楽やチップチューンを「無機質」だとか「ショボい」なんて先入観を持たず、是非楽しんでもらいたいなぁ、なんて思う今日この頃です。

…ナニ書いてんだかよくわかんなくなってきた。(ぉ