EVE burst error

旅行に行くちょっと前に、このゲームの曲が気になるという話をとある方にしていたところ、その方のご好意で楽曲を収録したMP3を戴いてしまいました…というわけで、今回の旅行中ずっと聴いていたこのゲームの楽曲についてどうしても書いておきたいと思いまして。
このゲーム、元はPC-98用の(平たく言うと)エロゲーの曲です。(但し、サターン等にも移植されているそうです) この時点で、既にアーケードやコンシューマ専門のゲームミュージック好きには何のことだかわからないかも。 …というか、私もゲーム自体はプレイしたこと無いので良く知らないんですね。(ぇ 作曲は、梅本竜氏という方だそうです。 これまた「知る人ぞ知る」的な存在だそうな。
では、何故このゲームの曲が良さそうだ、という事を知っているかといいますと…私が10年くらい前から使ってるPC-98FM音源ドライバ「FMP」というものがありまして、コレを使った音楽データを集めてコミケで販売していた時期がありました。 私も当時、福岡から何度かこれらに参加してたんですが、他の方が作られたデータの中に、この「EVE」を打ち込んだものがいくつかあり、その頃から「いい曲だなぁ」と興味を持っていたのでした。(私は割とこういうパターンで好きになるゲームミュージックも多い) で、一応サターン版やWindows版?のサントラは過去に出ていたのですが、アレンジ具合がどうもイマイチな気がしており、オリジナルのPC-98版を是非聴いてみたいとずっと思っていたのでした。
…というわけで前置きが長くなりましたが(^^;)、このゲームの楽曲について。 楽曲全体の印象としては、作風が近い作品をあまり知らないので、あくまで個人的な印象ですが…スナッチャーの曲が好きなら割とハマるかも。(なんか「全然違う!」とツッコミが来そうですが^^;) 何故かといいますと、これらの両作品は、聴いていると共通して(あくまで楽曲のみの印象では)「夜」「疑惑」「哀愁」というキーワードが浮かんできます。(※念を押しますが、ゲーム自体を知らないので、実際のゲーム内容が前述のキーワードとリンクしているかどうかは不明です) そういう方面が好きなら是非。
で、ここからが本題で、EVEの曲の何が凄いかというと、1音1音が非常に丁寧なんです。 しかし、その丁寧さは他のゲームミュージックで見られる丁寧さとは一線を画しているように思えました。
よく、ゲームミュージックなんかでは、楽曲から著名なコンポーザのクセを感じるときに「○○節」なんて云い方をしますが、「EVE」の場合は、聴いて梅本氏の顔を思い浮かべる…といった感じとは少々違う気がしています。(梅本氏の顔を知らないから、顔が思い浮かばないのは当たり前っちゃぁそうですが^^;) 個性のあるゲームミュージックは、その楽曲の裏に統率(=作曲・データリング)しているコンポーザの存在を強く感じますが、EVEの場合1音1音が自らの意思で鳴っているように思えてしまうんですよ。 例えば、一般的なゲームミュージックは一人がキーボードでいくつかのパートを演奏しているような感じだとすると、EVEの曲は、バンドで各パートが自らの意思と感性ででアドリブを入れつつ演奏しているのに近いのかなぁ、と。 特にスラップベースやリズムには一切の隙がありません。 もう、この位置でこの音でしかありえないといったレベルにまで洗練されています。 リズム隊だけでなく、コードやメロディなども、ベロシティやディレイ、更にはそれらの響きまで綿密に計算し尽くされているようです。 ガラスのように透明かつ繊細、しかしエッジの効いた音で力強い存在感を示しつつ丁寧に演奏される個々の音、そしてそれらが緻密に計算されて美しい響きを作っていく…私は、ここまで洗練されたゲームミュージックを聴いたことがありません。 ハッキリ云って驚愕しました。
これだけの素晴らしい楽曲であるにも関わらず、「PC-98エロゲー」というだけで世にあまり知られていないというのは非常に勿体無いです。 過去のゲームミュージックが見直されつつある昨今だからこそ、これらの楽曲がもっと世に出てもいいのでは、と思います。 改めてPC-98版がCD化できませんかねぇ?>baddyさんあたり