プリルラ

WizardOfPSG2006-05-18

というわけで、久々にゲームミュージックのレビューでございます。
今回は、本日の脳内BGMとしてずっと流れてた、タイトーアーケードゲーム「プリルラ」の音楽です。 プリルラの曲は、旧サイトロンレーベルの G.S.M.1500 シリーズでCD化されていました。 実は、今でもたまに急に聴きたくなると棚から引っ張り出して聴いたりしているお気に入りの1枚です。
残念ながら、ゲーム自体はプレイした事が無いので詳しくは知らないんですが(軽く調べた感じ、後半が物凄いことになっているらしいので知らないほうがある意味幸せ…??^^;)、まず、アーケードゲームの曲なのに聴いているととても心温まる曲というのが非常に珍しいかと。 アーケードゲームの場合、「ポップな曲」や「カッコイイ曲」は沢山ありますが、「心温まる曲」となると、実はそんなに多くありません。 そんな中でも、この「プリルラ」は素晴らしいです。 特に、タイトーゲームミュージックは、この時期くらいから何か宗教的というか終末的というか…妙にシリアスな曲が増えてきていて、タイトーゲームミュージックというとそういうイメージを抱く人も多いかと思いますが、プリルラの曲はそれとは正反対なんですよ。
CDのジャケットやインナーのイメージイラストを見ていると、絵本とか童話っぽい印象を受けますが、楽曲もまさにそんな感じです。 聴いていると、音ではなく「色」が広がってくるんですね。 パステルカラーに彩られた豊かな色彩が脳内に広がっていき、疲れた心を暖かく癒してくれるようです。
もう少し楽曲のほうに目を向けると、この当時のハードにしてはかなり音が丁寧に作られていることがわかります。(時期的には多分メタルブラックとかと同じ音源(F2ボードのFM+PCMかな? ちゃんと調べてはいませんが…)だと思います) 音色的には、この頃のタイトーの楽曲でよく使われていたブラスやベル系の音色が多いですが、元々柔らかい音色の為、これが良い効果を生んでいます。 それと、特筆すべきはPCMで鳴らしているパーカッションやSEの数々。 リズム隊も含め、割と色々鳴っているんですが、うるさ過ぎるわけではなく、楽曲の良いアクセントとなっています。
個人的にお気に入りなのが、「BGM5 枯渇した街」です。 わずか2音で奏でられる切ないイントロから始まるこの曲ですが、演奏が進むに伴って音(演奏パート)が増えていくと同時に曲調が徐々に明るくなっていき、終盤では音が水が流れるSE(雨音か水車の音だと思うんですが)とシンクロして、自分の乾ききった心が潤っていくようです。 落ち込んでいる時にこの曲を聴くと、本当に涙が出てきます。 他にも、上昇していくアルペジオが気分を高揚させる「BGM7 雲・地上(未使用曲)」、眼前に広がる一面の銀世界を想像させる「BGM8 雪原・記憶の森」、BGM1のアレンジですが、後半がより元気な感じで、希望に向かって再び歩き出す元気が出てくる「エンディング」などがお気に入りです。
このゲームの楽曲を作られたのは、タイトーでも特にこういうファンタジックなゲームの楽曲を得意とする「karu.」氏です。 パズルボブルやミズバク大冒険などの楽曲も担当されていました。 最近はフリーになったらしいという噂を耳にしましたが…最近はどんな楽曲を作られているんでしょうか? 是非聴いてみたいですね。 あと、こっそりメタルブラックでおなじみのYack.氏も担当されているようです。(どの曲が担当なのかは書いてませんでしたが…でも、「BGM3 誇大妄想家の町」は多分そうじゃないかなぁ。 音の進行がメタルブラックの「Doubt」っぽいし)
そんなわけで、CD自体は14年前にリリースされたものの為、現在では入手が非常に困難だとは思いますが、たまーに中古屋で「こんな値段で売ってていいの??」みたいな値段で売ってることがありますので、もし見かけたら即買い推奨です。 最近殺伐としてるなぁ…と思っている人に、是非聴いて欲しいアルバムです。