ファミソン8BIT STAGE2

ファミソン8BIT STAGE2 [Soundtrack] ~ momo-i


http://famison.com/ (※5/29現在、まだ情報が掲載されていません)
http://www.cdjournal.com/main/news/news.php?nno=15173
昔のアニメソングのファミコン音源アレンジ&ヴォーカルパートを桃井はるこさんが唄うということで話題となった「ファミソン8BIT」ですが、その第2弾が2007/06/08に発売されます!(5/29時点でAmazonや公式サイトにトラック一覧が掲載されてませんので、収録トラック詳細はCD Journalのリンク先をご参照くださいませ)
…で、実はこのCDのファミコン音源トラックで私も1曲参加しております。(最近の「趣味のお仕事」その1がコレです) 私が作ったのは、「ひみつのアッコちゃん」より「すきすきソング」です。(唄入りバージョンとショートバージョン(TVサイズ)を担当) 原曲は、水森亜土さんが唄うキュートな曲で、近年リリースされたセルフカヴァーアルバムにも収録されています。 ゲームミュージック的には、ポップンミュージックにカヴァーバージョンが入っているのでご存知の方も多いかと思います。
この話を戴いたときには、まだ前作「ファミソン8BIT」を入手しておらず、慌てて入手して原曲を聴いたんですが、むしろ聴いてしまったが為にプレッシャーが強かったというか…(^^;) 最近のいわゆる「Chiptune」と比較すると一聴してシンプルな出来ですが(そのせいでコアなChiptuneファンの評価が低いのが残念ですT_T)、実は非常によく練りこんで作ってあるんですよ。 鳴らし方はシンプルでも、絶妙なタイミングで入るSEやファミコン時代に聴き慣れたフレーズが確信犯的に織り込んであり、聴いてると思わずニヤリとしてしまうんです。(この感覚は「FAMILIAR COMPUTING WORLD」に近いかなぁ…これはもっと大胆にアレンジしてますが)
そんなわけでプレッシャーを感じつつデータ作成を開始したんですが…ここだけの話、最初期はファミコン音源ではなくSCCで作成してました。 5pb.の方に「ファミソンなのにSCCでいいんですか?」って話したら「面白そうだからOKです!」って話でw そんなわけで、イントロを数小節作ったんですが、その直後にその方から「やはりファミコン音源で…」ということで(^^;)今の形になりました。 で、ファミコン音源でデータリングするにあたり、流石に内蔵だけだと厳しいので、唄モノでよく使う「内蔵(RP2A03)+ディスクシステム音源(RP2C33)」で作ることに。 但し、いつもの違うのは、ヴォーカルパートに人間の唄が乗ってしまうこと! ただ、ショートバージョン(TVサイズ)や歌唱時のガイドになるということで、カラオケみたいに薄くメロディも乗せるということで、メロディライン自体は作りました。 ただ、ボコーダボイス風味のいつものやつだと肝心の桃井さんのヴォーカルが目立たないので、いつもよりは抑え目に単音色だけで…と思ってたんですが、原曲のヴォーカルがこれがまぁ難儀で。 恐らく、小林亜星さんの原曲ではちゃんとしたメロディラインが乗ってたんだと思うんですが、実際の曲を聴いてみると水森亜土さんがアドリブで唄ってるらしく、各番のイントロはそれぞれ微妙にメロディラインが違うんですよ! それだけならまだしも、音階に当てはまらないと思われる音(0.5度とか)が続出して困ってしまいました。(T_T) そんなわけで、最初のほうは一応そのへんまで耳コピして、デチューンを駆使してかなり原曲に忠実にしたんですが…困ったことに、これをファミコン音源の少ないパートで聴くと、ヴォーカルパートがどうしても音痴に聴こえちゃうんです。(T_T) なので、5pb.の方に「どうしましょう…原曲に近づけたら音痴になっちゃったんですけど…やり過ぎですかね?」「そうですねぇ…」「やっぱりそうですか…」というわけで、半音未満の細かいイントネーションはすっぱりカットして、近いと思われる音に合わせてヴォーカルパートを作成しました。 あと、もひとつ難儀だったのがオルガンパート。 この時代ですからモロ手弾きのソロパートなので、耳コピがえれぇ大変なの。(T_T) なかなか音採れないので、気分転換も兼ねてTXでつくばまで行って、静かなホテルの中で集中して音採りをやってなんとか完成。 その他のパートですが…ちょうどM3の準備とかも重なっていて時間も無く、実は同じパターンをループで使いまわしてるだけなのは極秘。(^^;) ただ、使いまわしてるとはいえ、アルペジオの音色は割と凝って作ってますし、今回のオーダーとして「SEを沢山入れてください」ということで、三角波パートも休符部分にシンセタム(リバース含む)を詰め込んでアップテンポ感を前面に出してます。 あとは、お約束のスーパーマリオ的SE(ジャンプ音+コイン音もどき)をオルガンパートの合間に入れて完成! 結局、出来上がったのは相変わらず「濃いぃ」トラックになってしまいました。 正直、ファミソンの他の楽曲と比べると明らかに浮いた印象があり、それがどう受け取られるか不安ではあります…
とりあえず、データリングまでで私の作業は終わりだったんですが、後日、桃井さんのレコーディングの時に参加のお誘いがあり、5pb.まで行ってきました。 スタジオに入ると、そこにはファミソン1/2ともにメインで楽曲作成を行っていた阿保さんと遭遇。 背の高くて優しそうなお兄さんでした。(^^;) 阿保さんとお話していると、どうやら昔(10年くらい前、大学のサーバを間借りしてFMPのデータを公開してた頃)から私のアレンジした楽曲を聴いていたそうで、「ファンです」なんて云われた日にゃぁむしろこちらが恐縮しまくりまくりでした。(^^;) なんてったって、阿保さんは実際にゲームの曲を作っておられるプロのコンポーザなんですから。(ちなみに、阿保さんが元々いらっしゃったKIDという会社は今は5pb.グループの「Five Games KID」という会社となっており、そこで元KIDのタイトルの開発を継続して手がけておられるようです) あと、ちょっと遅れてトランジスタ気楽さんという方もいらっしゃいました。 この方は今回は直接ファミソンに関わってはいませんが、将来的に同種の企画で関わるかもしれないということで見学に来たとの事。 彼女は見た目からしてトンがってるんですが(髪の毛がピンクで驚いた)、まだ20代前半なのに、よく聴く音楽はクラフトワーク戸川純ファミコンっぽいSEを多用した自作曲を多数作られており、その方面ではかなり有望な方だそうです。(彼女から「今度ファミコン音源で戸川純の曲作ってください!」って頼まれました。(^^;) Famicompo mini があるんですぐにはムリですが、面白そうなのでいずれ是非) ちなみに、彼女はもの凄い毒舌で、むしろそちらのほうの才能が凄い!と思いました。(なんて恐ろしい子!w) その後暫く待っていると、そこに現れたのはなんと5pb.代表取締役である志倉千代丸さん! もう恐縮しまくりまくりです。(@_@) 志倉さんは社長でもありますが、自らもコンポーザとしてご活躍されており、数々の名曲を生み出しておられます。(5pb.のオンラインショップで志倉氏のベストアルバムが入手可能です) その後、ヴォーカリストである桃井はるこさんが到着。 初めて拝見したんですが、とても可愛らしい方で、唄以外でも楽しそうに喋っている時の声がやっぱりあんな感じでキュートでした。 そういえば、休憩時間に桃井さんからサインを戴いてしまいました。(^-^)v 家宝にします!

そんなこんなでレコーディング開始。 すると、現場に急にピリっとした空気に包まれました。 とにかく志倉さんのディレクションが凄いんですよ! 手元のミニキーボードで即座に正確な音を採り、1回聴いただけで初見の曲もほぼ完璧に覚えてしまいます。 その上でレコーディングのフレーズ構成を決定し、桃井さんに的確な指示を出していきます。 桃井さんの唄が微妙に音程を外していると、すぐ「フラット(音程低め)なのでもうちょっと上げてみよう」と指示を出します。 そして、それに答える桃井さんも凄い。 そういう指示があった場合はほぼ一発で音程を合わせてきます。 パフォーマー(桃井さん)とディレクター(志倉さん)のやり取りを固唾を飲んで見守っていました。 結局、私の担当である「すきすきソング」は、各フレーズをバラしての収録だったにも関わらず、1時間弱で全て終了。 「プロの仕事」というものをまざまざと見せ付けられた思いで、いい経験になりました。 …ちなみに、サイトロンの頃は(唄収録ではなかったせいもありますが)データを再生開始して、1分くらいして「はい、ココで止めてください」って指示出すだけで「タクシーか!」って感じでしたw あとは、無敵状態にして最終面まで放置なので「はい、ここで20分休憩で〜す」って感じで、その間はレコーディングエンジニアの方と与太話してたりして。(^^;)

さて、私の担当はこんな感じですが、今日このCDのサンプル盤が届いたので、軽く中身をご紹介したいと思います。 今回参加されているのは、前述の阿保さんと私の他に、SuperSweepの細江慎治さん、安井洋介さん、「Kazuhiro Kobayashi(※漢字表記がわかりませんでした…)」さんと、「Yoneyoshi」さんが参加しています。 全体の半分以上を手がけられた阿保さんの担当曲は、ある意味正統な「ファミソン」のテイストで、相変わらず安定して良い感じに仕上がっています。 途中、マッピーのボーナスステージ風とか、聴く人が聴けばニヤリとするようなネタが織り込まれているのは流石です。 細江さんは今回「新オバケのQ太郎」を作られてます。 音色はファミコン内蔵+α(波形メモリ(N106?)かVRC6あたりをイメージ?)ですが、跳ねるようなSEと大胆なステレオパンニングを施してあったりして原曲の愉快なテイストがいい感じで出ていて流石だなぁ、と。 安井さんの担当曲は「となりのトトロ」と「ハイスクール!奇面組」で、音源構成は細江さんとほぼ同じでしょうか。(後者はFDSディスクシステム)っぽい音が鳴ってますが) 安井さんは実は昔の音源に造詣が深いようで、大変聴きやすくまとまっています。 後者は音色のいじり方が面白いと思いました。(この調子で、波形メモリ系の音源を前面に出した曲を聴いてみたい気がしました) そして、SuperSweep第3の男「Kazuhiro Kobayashi」さんは「山ねずみロッキーチャック」と「ドロロンえん魔くん」を担当してるんですが…この方はこのアルバムの中では割とトガった存在だなぁ…といった印象。 特に前者は、セルフディレイやエコーを使わない初期のファミコンテイストながら、バッキングでは高速アルペジオをふんだんに使い、ファミソンというかポケコンやもっと昔のPCに搭載されていたbeep音のようなざっくりしたテイストを感じます。 後者も波形メモリと思われる高周波を含んだ独特の音をメロに配し、バッキングには高速アルペジオを多用…というふうに、Sweepの他のお二方とは明らかに違うテイストの楽曲となっているのが面白いです。 他のアルバムで名前をお見かけしたことが無いんですが、個人的には今後要注意人物です。 あと、「Yoneyoshi」さんは「ベルサイユのばら」を担当しているんですが、これまた印象的で、VRC6をベースラインに使っているのがピリリとしたスパイスとして効いています。 …ていうか、ズバリ書いちゃうと、イントロのフレーズはもろ悪魔城伝説! この方は実は私の知人で、コナミの楽曲に大変造詣が深い方でもあります。 というわけで、悪魔城伝説あたりのコナミファミコン曲が好きであればきっと気に入ると思います。 最後に、私が担当した「ひみつのアッコちゃん」ですが…メロと合いの手とベル音?はFDSファミコンディスクシステム音源)で鳴らしてます。 ヴォーカルパートは単音色で作ってますが、合いの手は一応ボコーダヴォイス風にしてあります。 ヴォーカル版ではこの合いの手も実際のヴォーカルに置き換えられてますが、ショートバージョンでは素の音が聴けますので違いを楽しんで戴ければ面白いかと。 あと、オルガンパートは高速音色切り替えで結構音をいじってますので、このへんは好みが分かれるかも…っていうか、この時点で他の曲と全然テイストが違ってて恐縮デス。 ちなみに、ヴォーカルバージョン(フルサイズ)とショートバージョンでは微妙に違っている個所があります。 それは何処なのかは是非CDを聴いてお確かめくださいませ。
あと、恒例の?ボーナストラックですが、今回はあの「すすめボコスカ」が唄入りで収録されています。 それに際して、原作者であるラショウ氏のコメントがライナーに掲載されています。

そんなわけで、大変楽しいCDに仕上がってますので、どうぞよろしくお願いいたします。m(_ _)m

…そうそう。 このCD、サンプル盤を何故か2枚戴いてしまいましたので、このブログをご覧の方1名様にもう1枚をプレゼントしたいと思います。 欲しい!って方は理由をお書き添えの上、コメント欄もしくは私までメールでご連絡ください。 希望者多数の場合は、コメントの内容を見て決めたいと思います。 締切は…とりあえず6/3頃にしておきます。