EXTRA

http://ex-project.com/
こちらは、土曜に開かれた巨大ゲームミュージックイベント「EXTRA」です。 このイベント主催の5pb.さんのCD製作に参加した関係で招待されまして、行って参りました。(招待されなくても行ってましたけど^^;)
いきなり総評ですが…個人的には大満足! 運営等に一部手際が悪いと思われる部分もありましたが(休憩がやたらと短かったり、休憩終了時に館内放送が流れなかったり、招待客に招待状が届かなかったり、招待客に限定CDが配られなかったり…って後ろ2つは私のことですが^^;)、これだけ多種多様なゲームミュージックを一度に楽しめるイベントは恐らく初めてだったのではないでしょうか。 ちなみに、今回のイベントは「LIVE STAGE」と「DJ STAGE」に分かれており、LIVE(生楽器や生唄での演奏)とDJ(remix楽曲をノートパソコンを使って演奏)を交互に行うスタイルでした。 最後に出演者の植松伸夫さんが「ロックバンドとテクノがあって…その横にオケピットがあれば完璧だね」みたいな話をしておられましたが、ここまで来るとメジャーな演奏形態としてあとはオケが揃えば確かにゲームミュージックの現状をかなり網羅できそうな勢いです。 また、これだけ多くのアーティストが集まるということで、一組あたりの演奏時間の短さが懸念されましたが、1組あたり2〜30分の持ち時間で、3〜5曲程度は演奏しており、むしろこのくらいがちょうど良い感じでした。(特定の出演者のみのファンには物足りないのかもしれませんが、私はむしろ色々なものが割といい感じで聴けて満足) ただ、通しで6時間立ちっぱなしというイベントは、特に三十路overなゲームミュージックファンにはかなり辛いです。(T_T) 今日はえらい筋肉痛でもー大変な事に。

折角ですから、出演アーティスト順に演奏曲や感想を書いてみたいと思います。(一部敬称略)

桃井はるこ
予想通り、ファミソン8BITのボーナストラック2曲(「きみはホエホエむすめ」と「すすめボコスカ」)を披露。 一応「LIVE STAGE」となってはいましたが、元々ファミコン音源的な打ち込みバックトラックだったので、今回もそのスタイルをそのまま踏襲。 バックバンド無しのヴォーカルのみという演奏形態でした。 唄はCDに入っていたあんな感じだったんですが、(レコーディングの時に普段の喋りを聞いてたので)ちょっとトークがカタかった感が。 ただ、これは「ファミソン」のコンセプトに従ってキャラを演じていたような気もします。 あと、「すすめボコスカ」では原作のラショウ氏が登場し、桃井さんと一緒に唄っていたのですが…ラショウ氏のトークの空回りっぷりがなんとも…(^^;) ていうか、(今回のイベントの客層がイマイチ見えないんですが)若い人にはこのネタわかんないんじゃないかなぁ…と。(^^;)


山岡晃×日比野則彦 with 小柳ゆき
現在のコナミ看板タイトル「メタルギアソリッド」「サイレントヒル」を手がけたお二人のステージ。 日比野氏がサックス、山岡氏がギターを担当し(その他バックバンドが別の楽器を担当)、最初2曲はサイレントヒルのしっとりとした楽曲を演奏。 日比野さんのエモーショナルなサックス演奏が素晴らしすぎます。 ただ、サイレントヒルの楽曲自体がマイナーなのか、お客さんの反応が薄くて可愛そうだったなぁ…個人的にはサイレントヒルの音楽って大好きなんですけどね。(後で会場に来ていた知人数人から「サイレントヒルの曲って初めて聴いたけど結構イイね」という話を伺いました) で、3曲目はメタルギアソリッドの曲。 ここで観客の反応が俄然良くなってきましたw また、このへんからヴォーカリスト小柳ゆきさんが登場。 最近見かけないと思ったら、日比野さん繋がりで色々やっている模様。 小柳さんのエモーショナルなヴォーカルに素晴らしい演奏が絡み、極上のステージでした。


BETTA FLASH
タイトーZUNTATA)コンポーザで、「レイ」シリーズの楽曲でお馴染みTAMAYOさんのステージです。 レイシリーズの楽曲っぽい雰囲気で始まるものの、何かが違う… そうです。 驚いたことに、タイトー以前にカプコンで担当していた楽曲まで披露してくださいました。 それはまさにTAMAYOさんの歴史を振り返るような内容で、最初はなんとデビュー作の「ソンソン」! その後、「EXED EXES」「戦場の狼」「大魔界村」「アレスの翼」ときて、「レイ」シリーズの楽曲へ。 この間、イメージとしては完全に「レイ」以降のあの作風で、各楽曲が違和感無く繋げられていました。 まさか、そんな昔の楽曲まで披露してくださるとは思わなかったので驚きました。(ここまでやるんなら、個人的には「ロストワールド」も入れて欲しかったなぁ) そして、PS版レイクライシスの楽曲になったところで、ヴォーカルのCyuaさん登場。 「BLUE -地球に棲む日-」ともう1曲をヴォーカル入りで披露。 なんか、イベント終了後に渋谷でライブをやるという話があったんですが、行かれた方がいらっしゃいましたら是非感想を伺いたいところです。 …ところで、イベント終了後にZUNTATAのファンの方から伺ったんですが、OGR氏がタイトーを辞めたって本当ですか?? 最近新譜をほとんど見かけないので不安だったんですが…実質「ZUNTATA」ってもう無くなってしまったんでしょうかね。


SEGA sound team H.
いきなり超定番の「AFTER BURNER」で会場は最高にヒートアップ! 今回のイベントで一番盛り上がっていた気もします。 初めてH.のライブを観たんですが、ライブ慣れしているというか勢いがあるというか…観客を乗せるのも上手いし、演奏も巧い。 こちらもテンションがどんどん上がります。 これ以外に、「カルテット」「Splash Wave(アウトラン)」「ハングオン−愛のテーマ」「デイトナUSA」を披露。 「カルテット」は、イントロのベースラインをチョッパーベースで生演奏したりして思わず「スゲェ」と叫んでしまいました。 あと、右端の方が吹いてたトランペットがえれぇカッコイイの! アドリブ的ソロフレーズでは、トランペットの発音限界に迫る高音連発でヤヴァいくらいカッコ良かったですわ。 参った!


田中宏和
今回のイベントで実は私が一番注目していたのがこの方です。 ファミコン時代の名コンポーザですが、恐らくこういうイベントに出てくるのは初めてではないかと思います。 今回は DJ STAGE ということで、「バルーンファイト」「ロボット」「レッキングクルー」「メトロイド」「ドクターマリオ」等のファミコン楽曲remixを披露してくださいました。 出音はやたらと音を重ねるでもなく、ファミコン音源が浮くでもなく、実にいい塩梅でremixされておりました。 低音ブリブリのファミコン三角波ベースとか音がホップするメロディラインが、この手のremixに恐ろしくマッチしています。 特に、「ロボット」「バルーンファイト」は、田中宏和氏の頭の中には元々今回のremixのようなイメージがあって、音源制約によってフィルタリングされて出てきたのがファミコン版(=今回のremixで原曲のイメージに近づいた)のでは??と思えるくらいのハマりっぷりで、ずっと聴いていると鳥肌が立ってきました。 コレ、CD化されないかなぁ…家でもう一度じっくり聴きたいですよ、マジで。


松前公高
以前開かれたゲームミュージックイベント「LEGEND」ではファミコン時代の楽曲のremixで好評でしたが、今回は田中宏和氏が既にソレをやってしまっていたので、松前氏自身の楽曲(ゲームのBGMとして使用予定の楽曲)をシンセで生演奏、というスタイルでした。 で、演奏中の手元をずっとカメラが映していたんですけど、松前氏の使ってたシンセ面白いなぁ。 ツマミがえれぇ沢山ついてて、演奏に合わせてツマミをいじると音がどんどん変化していくんです。 あぁ、あんなシンセうちにも欲しいなぁw で、楽曲はというと…かなりアバンギャルドな感じ。 どこかネジが数本飛んでしまったかのようなアレンジは、昔物議を醸したダライアスのアレンジバージョンに近いものがw あと、2曲目は組曲形式の非常に長い曲。 最初のほうは穏やかな雰囲気だったんですが、途中から雰囲気が一変。 (たぶん)Speak&Spellの生演奏(!)や、シンセでファミコンのSE風のフレーズを弾いたりなんかして、なかなか面白かったです。 …ただ、これだけ人が集まっている中でクソゲーの曲ばかり担当してます」ってのは流石にどうかと…(^^;) こんな発言してると本当に仕事が来なくなるんじゃないかなぁ…ステージに上がった時にはかなり酔ってたようですが。


古川もとあき with VOYAGER
正直、演奏楽曲自体は知らないものばかりでしたが、あの軽やかなギター、あの音色、あの旋律はまさに古川氏そのもの!といった感じ。 初めて生演奏を聴けて感激でした。 …ちなみに、「VOYAGER」メンバーのフレディさん(やたらと凸が広い方)って、もしかしてポップンで楽曲書いておられる「フレディ波多江」さんなんでしょうか? 教えて、エラい人!


大久保博(NBGI)
最近のリッジレーサー等の楽曲を書いておられるナムコのコンポーザの方です。 「リッジレーサーズ」のセレクト画面の曲から始まり、キック強めの曲で徐々に煽っていきます…が、どうもお客さんはいまいちノリが悪いご様子。 知らない楽曲が多いせいでしょうか。 途中、「NEWラリーX」の曲が入ってくるのはもはやお約束っていうか反則っていうか…(^^;) あと、途中に何故かギャプラスのフレーズが入ったり、どうみても1942っぽいフレーズ(最初はスカイキッドのドラムロールかと思ったんですが、あのホイッスルは1942っぽいよなぁ)が流れたりしたのは確信犯ですね。(気づいてる人はかなり少なかったようですが…) 最後は、リッジレーサーズの「Disco Ball」(かな?)の楽曲で盛り上がってシメ。 お客さんの反応は(最初は)微妙でしたが、私は結構好きでした。


伊藤賢治
今回は、カルドセプトサーガの曲から数曲披露。 …っていうか、NBGIの次でいきなりカルドセプトサーガのオープニング曲を流すって…何か他意を感じますが気のせいですか?(^^;) 伊藤氏はピアノ演奏でしたが、今回は他にアコギが数名とパーカッションで、ちょっといつもの雰囲気とは違う編成。 また、途中から「ヴォイスパフォーマー」と呼ばれる方が出てきて、独特のメリハリのあるヴォーカルを披露してくださいました。 旋律はモロにイトケンのバトル曲の雰囲気ですが、アレンジがいつもと違う感じでかなり新鮮でした。 あと、伊藤氏は一見すると寡黙そうな感じに見えるんですが、実際はちゃんとバンドのメンバー紹介などでMCも随所に入れたりして、かなり手馴れた様子でした。


崎元仁×並木学×岩田匡治×金田充弘
要は「ベイシスケイプ」の皆様、ということで。 DJ STAGE なのに4人も出てくると何か不思議な感じですが、それ以上に何故か白衣をまとった姿が印象的でした。 ただ、演奏中は左端の方(多分さんたるる氏じゃないでしょうか?)だけがえれぇノリノリなのに対し、他の方は黙ってパソコンのモニタを見つめていただけなので、なんだか「博士と助手」って感じ。(^^;) 楽曲自体はどれも高揚感があって素晴らしいものでした。 各人それぞれの代表作?をノンストップメドレーでremixといった形態となっており、さんたるる氏はお馴染み「怒首領蜂大往生」から。 これは鉄板でしょう…コレで盛り上がらないわけないもん。 個人的に気になったのが、その次に流れた「BLEACH」というゲーム?の楽曲。 破壊的なギターフレーズがカッコ良くて個人的にツボにハマりました。 コレってサントラ出てないんでしょうかね…? 出てたら即買いします。 あと、岩田氏は「オーバーホライズン」というゲームの曲。 ここでいきなりスカスカでゲームミュージック臭い楽曲になって妙な違和感がありましたが(^^;)、楽曲自体は昔のゲームミュージックのエッセンスが詰め込まれていて大好きです。 …っていうか、後半は「マジカルチェイスかよ!!」ってフレーズで岩田節が炸裂していてツボでした。 最後は崎元氏の「蒼穹紅連隊」の楽曲。 崎元氏の楽曲って、個人的にはちょっと合わない部分もあるんですが、重厚なオケのフレーズが迫ってくるのは迫力があって良いと思いました。


古代祐三 with Flair
最初は、古代氏が単独で出てきて、ピアノ生演奏で「世界樹の迷宮」の楽曲を披露。 「世界樹はFMエレピの音色でないと…」という人も多いかと思いますが、むしろピアノ音色に置き換わってわかったのは、「音色を抜きにしても世界樹の迷宮の楽曲の良さは普遍」という事。 あの泣きメロはもはや犯罪でしょう。 なんか、最近(古代氏が昔師事していたという)久石譲氏の作風に似てきた気もします。 その後、なんと某社在籍時代の超有名ARPG2作のオープニング曲をピアノ生演奏で披露。 …ていうか、最後まで具体的な楽曲名を云わなかったあたり、絶対無許可だと思うんですが…後で揉めないか心配。(^^;) その後、ヴォーカルのFlair氏をお迎えし、「ナムコ×カプコン」から、古代氏担当のオープニングとエンディング曲を披露。 その際、ギターは古代氏の演奏でした。 このセッションに関しては、楽曲自体は良いものの演奏が…というのが正直な感想。 古代氏のピアノは、最初タメが入ってるのかと思ってたんですが、ところどころ和音を間違えていたところを見ると素で間違えていた模様。(T_T) また、後半のギターも音量調整がおかしくて、最初はギターのみが浮いた状態になっていました。 そのせいで、古代氏がタイミング間違えたのまで丸解りだったのはなぁ… 他の出演者の演奏があまりに素晴らしすぎるが故に、一層それが目立ってしまうのが一番惜しいところでした。 今度は生演奏ではなく打ち込みremixとして DJ STAGE で見てみたいなぁ…と。 ちなみに、MCでは小ネタをいくつか用意していて、「こんばんわ。こだいです」(本当は「こしろ」と読むのが正解。 よく間違えられることに対する自虐ネタ)とか、(演奏前は会場のVIPルームにいたことから)「VIPからきますた」とか。(^^;)


細江慎治
今回は、テクニクビートから自身のナムコアレンジ曲を再remixして披露してくださいました。(コレがテクニクビートの曲だって気づいた人ってどれくらいいるんだろう…? ていうか、そろそろCD出してくださいよ〜 「EXTRAで演奏した曲が入ってます」とか書いて是非!) また、最後はご自身のデビュー作であるドラゴンスピリットのremixを披露。 どちらも素晴らしいものでした。(元々アンダーグラウンドなイベントにしょっちゅう出てるそうなので、手馴れたものなんでしょう) 今回改めて思ったのが、細江さんの楽曲って音色やアレンジが「生理的に心地よい」ってこと。 ここは聴く人によって違うと思うんですが、少なくとも私はそうでした。 テクニクビートナムコ曲アレンジでは、シンセの音色しかり、ポルタメントの位置しかり。 とにかく昔から「生理的に心地よい楽曲」の作り手として秀逸だったんだ…ということに改めて気づかされました。


THE BLACK MAGES
トリを飾るのはこの方々です。 何故か「SPECIAL GUEST」扱いですが、時間枠はそれほど変わらない印象です。 どのへんがSPECIALなんでしょう…やっぱりギャラがSPECIALに高…いや、なんでもないですw 「THE BLACK MAGES」は、スクエニの曲をロックアレンジするバンドで、FFのメインコンポーザである植松伸夫氏を筆頭に、元コナミ福井健一郎(フンイキ福井)氏や関戸剛(ゼンジーペキト)氏などもいらっしゃいます。 今回は、これまた鉄板の「更に闘う者達」や「ビッグブリッジの死闘」などを披露。 長丁場の最後ということで(観客の)体力的にも厳しいにも関わらず、猛烈な盛り上がりでした。 なにしろ、終了後にアンコールが止まなかったほどですから。(ちなみに、今回のイベントではアンコールはありませんでした) ちなみに、植松氏によると、年末〜来年あたりに3rdアルバム発売&ライブが開催されるそうです。 こちらも期待!