古代祐三関連CD

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(Amazon) 古代祐三 BEST COLLECTION Vol.2


(Amazon) 「世界樹の迷宮」スーパー・アレンジ・バージョン




ここ最近、古代祐三氏関連のアルバムが立て続けにリリースされているのですが、5pb.の方のご厚意でサンプル盤を戴きましたので(どうもありがとうございました)、ここでご紹介を。

まず、こちらは既に発売中ですが、3枚組のCD「古代祐三 BEST COLLECTION Vol.2」。 これは、以前発売された「Vol.1」の第2弾で、今回は「ザ・スーパー忍」と「ベア・ナックル」三部作の4タイトルが収録されています。 前作には未CD化?の「トア」が含まれていたことを考えると、今作は以前にアルバム化されているのでレア感は低めですが、新録されるにあたり、ザ・スーパー忍ベア・ナックルIIIには以前のCDで未収録だった音源も収録されているそうです。
というわけで、まずは「ザ・スーパー忍」。 それまでのポップンロール的直球の曲からは若干作風が異なり、和風テイストだったり意図して音を抜いてあると思われるような曲があったりと、曲調に変化が表れてきた頃の作品ですね。(確か、当時のCDのライナーノーツで「コケティッシュな雰囲気を狙って作った」みたいな事が書いてましたね…って、「コケティッシュ」って意味がわからないので調べてみたら「なまめかしい」という意味だそうで…なるほど) 久々に聴きましたけど、この頃は曲作りに余裕が出てきたような印象があり、肩の力を抜いて聴けるのでコレはコレで割と好きかも。 あと、特筆すべきは今回初収録となる「LONG DISTANCE」! ヤヴァい、カッチョイイぞコレ!! 路線としては、このタイトルの中ではほぼ唯一のポップンロール全開な曲。 前回のアルバムでは雰囲気に合わないので収録が見送られたのでしょうか。 これが今まで世に出ていなかったとは…勿体無い。 あと、もう1曲の未使用曲は、スーパー忍のコケティッシュ路線で作られた曲ですね。 こちらは、後に同人ソフト「ワンダラーズ・フロム・スーパースキーム」に使われたようです。(EGG MUSIC でもこれらの曲を聴くことができます
続いて「ベア・ナックル」。 こちらは残念ながらCDを所有していなかったので、今回ほぼ初めて聴きました。(以前、友人の家で聴かせてもらった事はありましたが) フュージョン・ロック・オケ的な曲調がゲームミュージックの中心で、まだ4つ打ち系の曲がほとんど無かった時代に出てきたのがこの「ベア・ナックル」の楽曲だったと記憶しています。 古代氏はここで一旦今までのポップンロール路線を捨てた為、昔からのファンからは賛否両論あったようです。 全体的にダークかつ抑え目な曲調で、ちょっと地味な印象はあります。 今でこそ違和感無く聴けますが、当時は衝撃的でした。
続いて「ベア・ナックルII」。 曲調は前作を踏襲しているものの、フィルタの開閉で変化する音を表現したり、raveっぽい雰囲気の曲が入っていたりと、前作と比べるとよりアッパーで攻撃的な印象があります。 ちなみに、この「II」だけは何度もCD化されていて、一般的に知られているのはアルファレコードのG.M.O.盤とコレですが、この2つ以外に海外で発売され、ANCIENTのサイトで逆輸入販売された海外版「STREET OF RAGE II」のサントラもあります。(収録曲は日本版と全く同じですが、こちらのサントラはイコライザやエフェクタで一部の音が強調されたヤンキー仕様wになっています。 要は、「YELLOW MAGIC ORCHESTRA」の日本版と海外版の違いみたいな感じ)
そして、今回の目玉「ベア・ナックルIII」です。 こちらは前2作から更にイッちゃった感があり、好みが激しく分かれるところではあると思いますが、個人的には大好きです。 今回のCD化にあたり、ベアIIIの古代氏担当の曲のほとんどは、自作の自動MML生成ツールを使って作られたことが暴露?されました。 どおりであんな脳内筋肉が脊髄反射で出力したような変な曲(誉め言葉)が続々と出てくると思いましたよ!(^^;) あと、この音源に関しては、アルファG.M.O.盤と比べて音質…というか、パートバランス等がかなり異なっているようです。 今回のはメガドライブ実機録音のようですが、前回のアルバムは開発機材版を調整して収録されたものなのでしょうか。 以前発売されたCDを聴いているせいか、最初はちょっと違和感があったんですが、今回のアルバムのほうがステレオの定位感がしっかりしていたり、パートバランスが好みの曲もあるので、G.M.O.盤をお持ちの方も是非聴き比べることをオススメします。 そして、今回のアルバムには初収録の曲が沢山あるんですが…興味深いのが「BGM I〜IV」シリーズ。 ほとんどの曲はビート(リズムやベースライン)が入っておらず、摩訶不思議なメロディが前衛芸術のような不思議な世界へと誘います。 恐らく、以前のアルバムではイメージに合わないということで外されたのでは?といった印象。 あと、恐らくこれらの曲は前述の「MML自動生成ツール」が出力した素のデータに近いものなんじゃないでしょうかね。 結局、これだけで楽曲を成立させるのは厳しいので、そこから印象的なフレーズを抜きだし、ビートをつけて楽曲を成立させていく…という手法を用いたのではないでしょうか。 そういう意味では、ベアIIIのプロトタイプとして聴くのも一興かと。

そして、これを書いている時点では未発売の「世界樹の迷宮 スーパー・アレンジ・バージョン」。 こちらは、古代氏のセルフアレンジではなく、メタルギアソリッドシリーズの楽曲で知られる日比野則彦氏が中心となっているそうで、帯によれば、何故かH.(ってSEGAのバンドなのに??)とか THE BLACK MAGES の岡宮道生氏(ってスクエニry)も参加されているとか。 早速聴いてみましたが…イントロ的に軽く演奏されるオープニングに続き、2曲目の「翠力ノ樹海」で早くもノックアウトされました。 原曲の泣きのメロディは、個人的にここ10年くらいの古代サウンドで1,2を争う名曲だと思うんですが、日比野氏が演奏するギターとサックスが甘美で切ないメロディをより深いものにしています。 思わずウットリと聴き惚れてしまいました。 いいなぁ〜。
ただ、次の曲「鉄華 初太刀」では、いきなり曲調が変わり、打ち込みっぽいリズムの激しい曲に。 ここでライナーを見てみると…どうやら、日比野氏はあくまで「プロデューサ」としての立場で、演奏はTr.2のみの模様。 あぁ…あの甘美な演奏をもっと聴きたかったなぁ…と思いつつも、こういうアレンジも結構イイかも、といった感じで。 外人の美しいヴォーカルが乗った曲やオケ物があったり、予想に反して割とバラエティに富んだアレンジになっているようです。
そして、再び耳を奪われたのはTr.7「討ち果て朽ち果て」。 インデックスを見ずに聴いてたんですが、このトラックで明らかにアレンジの趣向が違っていたので、「もしや」と思ったら、やはり「H.」のアレンジでした。 その名前のとおり?エッヂの効いたアレンジとなっており、華麗なピアノの演奏や、途中から入ってくるホーンセクションなど、アグレッシブなそのアレンジは出色のデキだと思います。 あと、Tr.11に THE BLACK MAGES の岡宮氏がギターを弾く「英雄は生まれ物語は続く」が収録されており、こちらはギターの演奏自体はいいんですけど、ちょっと音量小さめなのが惜しいなぁ…個人的には、せっかくだからもっとギターを全面に押し出せばいいのに、と思いました。
という感じで、全体的にはかなり満足度の高いアルバムでした。 これを聴いて、(アレンジ自体のデキもさることながら)古代氏の紡いだベースとなる楽曲自体が素晴らしいものだったことを再認識しました。 どうしてもFM音源音色を使ったこと自体がクローズアップされがちですが、「世界樹の迷宮」の音楽は、古代氏のメロディメーカーとしての才能が惜しみなく詰まっており、21世紀以降に発表されたゲームミュージックの中でも群を抜いて素晴らしいものだと思います。 こうなると、アレンジバージョンの第2弾が出るとすれば、また違うテイストで聴いてみたいですね。 個人的には、明るめの曲を古川もとあき氏のギターで演奏したり、プログレちっくな曲を桜庭統氏にアレンジ&演奏してもらったり…うわぁ、聴きてぇ!w
…そういえば、今回のアルバムのタイトルを見て、昔のファルコムレーベルを思い出したんですが、もしかしてそのへんも狙ってたりするんでしょうかね…?? そのうち、世界樹の続編(追加シナリオ?)とか出た頃に「スーパーアレンジバージョンII」とか出たりするんでしょうかね?w
…そうそう。 前述の「古代祐三 BEST COLLECTION Vol.2」なんですが、実はサンプル盤が届く前に自腹で買っちゃったので(^^;)、今手元に2枚あります。 もし欲しい方がいらっしゃれば差し上げますので、欲しい方はコメント欄にその旨をお書き戴ければと。 締め切りは次にブログを書く頃までとしますw なお、応募者多数の場合はコメントの内容を見て私の独断で決めたいと思います。