ポータブルNSFプレイヤー

http://www2s.biglobe.ne.jp/~tns/tnshfp1.html
というものが、この前の夏コミで頒布されました。(後で伺った話ですと、「両手両足で足りるくらい」(=20台以下)しか持込できなかったそうで、瞬殺で完売したらしい…) 次のFMPSGのアルバム収録に使いたくてどうしても欲しかったので、私よりも早く入る友人に代理購入を頼んでおき、なんとか入手することができました!(本当にありがとうございます。m(_ _)m 今度何かおごらせてください!)
ネットを軽く検索してみたものの、元々台数が少なかったせいか、これを入手したというレポートが何処にも無い! これは購入した者として書いておかないと…というわけで、以下にインプレッションを書いておきます。(途中、前の機種と比較する箇所がありますが、私はTNS-HFC2を所有していないので、その前の機種「TNS-HFC1E」との比較となります。 従って、TNS-HFC2で既に改善済みのものもあるかもしれません)

まず、本体サイズ。 大きさ的には、昨今の携帯ゲーム機(NDS, PSP…の初代)とほぼ同じくらいのサイズ。 参考に写真を載せておきます。(真ん中の白いのがTNS-HFP1)


こんな感じで、持ち歩くとすればポケットには(ちょっと大きめであれば)なんとか入るレベル、カバンに入れて歩くなら余裕…といったところ。
また、駆動には単三電池4本(!)が必要なのですが、ホームページ掲載スペックでは5〜7時間程度もつとの事で、ちょっとした持ち歩きやイベントでの使用であれば問題ないかと思います。(アルカリ電池なら100円ショップで4本100円で買えますしね) 電池を入れた状態で前述のゲーム機と比較してみたんですが、重さはそんなに変わらないですね。(※PSPNDSも初代モデルなので、今のやつだともうちょい軽いのかもしれませんが) というわけで、持ち運びには特に支障は無いと思います。

続いて、TNS-HFP1に装備されているものですが、SDカードスロットは(TNS-HFC1-Eでは)標準サイズだったのに対し、TNS-HFP1ではminiSDに変更されています。 私は元々TNS-HFC1EでminiSD→SD変換アダプタを使ってたのでそのまま(アダプタを外して)使えましたが、新たにSDカードを買う際は注意が必要です。 そして、当然のことながら音声用ミニジャックが1つ…と、同じ形状をしたものがもう1つ…?? これは、映像出力用に存在しているのだそうです。(ミニプラグ→RCA変換ケーブルを買って、ビデオ出力に繋げれば画面が出る?? ケーブルが手元にないのでまだ試してませんが…) あとは前機種と同じボリュームが1つと、新たに(ファミコン本体から電源供給を受ける形式ではないので)電源スイッチが1つ。 そして、曲選択が(以前は2ボタンだったのに対し)左右に動くスイッチ1つだけになっています。 今までは、曲選択ボタン押下→ファミコン本体のリセット…という作業が必要でしたが、今回はスイッチを左右に動かすと勝手に曲停止→ファイル読み込み→演奏が行われるようになっており、操作性は非常に良好です。(ちなみに、このボタンは押し込むとリセットが入るようになっているので、曲演奏がおかしいときや最初から聴きたい場合もこのボタンで操作可) 他には、ACアダプタの端子(アダプタは付属しないので各自で用意)と、更にはファミコンのコントローラ用端子までついてる! 映像出力ができるということで、やり方によってはファミコン用の自作アプリを作ってNSFファイル形式でロードし、実際にコントローラで動かしたりすることも出来る…のかもしれません。NSFファイルはサウンドログ形式と違って、楽曲データとドライバを1ファイルにしてファミコン実機と同様の処理を走らせているだけなので、音源ドライバ駆動部を違うアプリ(ファミコン用のゲームとか)に差し替えても条件が整えば動作しそう)

あと、個人的に気になっていた音質についてですが…これに関しては(TNS-HFC1Eよりは)遥かにノイズが減ってます! 個人的にはこれだけでも「買い」でした。 以前のやつでは構造上どうしてもファミコン本体側のノイズの影響を受けるらしく、特にビデオノイズやリセット時(押した瞬間と離した瞬間)のサージノイズ(っていうんですか?あんまり詳しくないんですが)、更には2コンのマイクノイズwは明らかに音質に影響を与えていて気になっていたのですが(流石に2コンノイズは気になるので、録音時にはコントローラを引っこ抜いてました^^;)、今回はこのへんが無い、もしくは遥かに低減されています。 これにより、実機ならではの厚みは残しつつ、音がよりクリアに聴こえる印象があります。
このへんの話は、実際に比較してみたほうが判りやすいでしょう…ということで、両方の機種でほぼ同じ条件で録音したものです。


楽曲鳴り始め

  1. TNS-HFC1-E(NSFプレイバックカートリッジ)使用時
  2. TNS-HFP1(ポータブルNSFプレイヤー)使用時

まず、前者はリセットボタンを戻したときのノイズが入っていますが、後者はそのノイズが無いことがわかると思います。(前者はFMPSGのアルバムとか作るときはいつも編集で切ってましたが、今回比較の為にわざと残しています) より判りやすいよう、楽曲の鳴り始めを波形エディタで開いた画像も貼っておきます。(赤丸をつけた部分がリセットノイズですが、HFP1ではそれが入っていません。 なお、波形の冒頭が変なレベルから入ってますが、これはリセットもしくは選曲ボタンを押した際の直前の曲の波形レベルが0でない為にこうなっています)
TNS-HFC1-E

TNS-HFP1

あと、曲の鳴っていないときのノイズに関しても比較してみました。


無音時ノイズ(※非ループ曲演奏直後より収録)

  1. TNS-HFC1-E(NSFプレイバックカートリッジ)使用時
  2. TNS-HFP1(ポータブルNSFプレイヤー)使用時

同じく画像を貼っておきますが、画像で見ると一目瞭然です。 同じ縮尺で波形エディタの画像を見ると、後者のほうが遥かにノイズが少ないことがわかります。
TNS-HFC1-E

TNS-HFP1

その他、操作性や機能などで気づいたこと列挙してみます。

  1. ケースの前面操作部には蓋が無くむき出しなので、水で濡らしたり静電気が入ったりすると危険
  2. 選曲はユーザが手動で行う必要あり。 放置だとその曲のみを演奏する(ループ曲は無限ループ、停止曲は止まってそのまま)
  3. 1つのファイルに多数の曲が入っているNSFは、先頭の曲のみが演奏される
  4. 拡張音源には未対応
  5. バンク切り替えには対応(ppmckだと#AUTO-BANKSWITCHとか)
  6. 旧mckでコンパイルしたファイルもある程度演奏可(一部どうしても変なのもあり)

ポータブルプレイヤーということで、演奏制御機能があると嬉しかったんですが…ファームウェアで機能追加可能だとすれば、このへんにも期待したいところです。
「1つのファイルに多数の曲が入っているNSF」としては、私が昔自作した「銀河の三人」のNSFファイルで検証しました。(※このファイルは私が手持ちのROMを吸い出して自作したものです。 配布したりするとマズいかもしれませんので、このファイルに関するお問い合わせや頒布には一切お答えできません 本体の選曲スイッチは、あくまでファイル単位で切り替えるものなので、このようなNSFには対応していないようです。 …ただ、(非効率ではありますが)NSFファイルを先頭曲番号だけ変えた複数のファイルに分割すればこのへんは問題無さそう。 そんなに難しくは無い気がするので、時間があればそういうツールも作ってみたいところです。 あと、前述のNSFの場合1回目では正常に演奏できず、数回リセットするうちに鳴るようになりました。 これは恐らくNSFファイルの初期化不備だと思うので、初期化ルーチンを直せばなんとかなりそうですが…果たして??
拡張音源に関しては、少なくとも本体ケース内部に入れるのは(スペースが無いので)無理そう。 個人的には、外部にソケットがはみ出しても構わないので、改造可能であれば是非つけたいところです。(特にディスクシステムとVRC6)
旧mckでコンパイルしたファイルに関しては、私が作った曲の中で内蔵音源のみのファイルをいくつか鳴らしてみたところ、TNC-HFC1-Eよりも若干マトモな気がします。 唯一、フルスロットルだけがループがおかしかったのですが、これは旧版でもマトモに演奏できなかったので仕方ないところかもしれません。

というわけで、色々書いてみましたが、何はともあれ「音質が向上した」ことと(ファミコン本体に挿すタイプはファミコン本体サイズ込みなのに比べて)「サイズが小さい」「屋外でも乾電池駆動で使用可」という点は大きなアドバンテージでした。 手作りということで製造数が少ない上、中古のファミコン本体からMPU等を抜いて使用することから、暫くは品薄状態が続くかもしれません。 個人的には、MPU以外の基板のみ量産しておいて、MPU(=ファミコン本体)は自身で用意して実装するタイプ(但し、自己責任でサポートなし)というのもあれば、より多くの数を頒布できるかも…と思いました。

…本当は、コミケで買ったCDの話とか、以前書こうと思ってたKNOPPIXの話とかも書きたいんですが、それはまた後日ということで…(^^;)