最近お気に入りのCD色々その1(WAVE MASTER編)

というわけで、最近あまりゲームミュージック系の話題を書いてなかったので、最近聴いたお気に入りのゲームミュージックサントラをいくつかご紹介したいと思います。 今日は、最近リリースが色々と充実している WAVE MASTER 系を。(他にも色々書きたいんですが、長くなりそうなのでいずれ気が向いたときに…)



LEGEND OF JOE MUSASHI 〜忍 MUSIC COLLECTION〜



セガの歴代の「忍」シリーズを色々収録した4枚組サントラ…充実しすぎですw しかし、「忍」のコンピレーションアルバムが出るとは全く予想してませんでした。 渋いですなぁ。
機種やシリーズごとに様々な曲調が楽しめるんですが、個人的に気に入っているのは、古代祐三氏担当のザ・スーパー忍」「The GG忍シリーズ」と、作曲は古代氏ではないのですが当時からお気に入りだったザ・スーパー忍IIの3作です。
まずは一番有名な「ザ・スーパー忍」。 これは大昔にアルファレコードからサントラも出てましたし、最近も5pb.から出た「古代祐三 BEST COLLECTION Vol.2」に入ってましたので、割と知名度も高いのではないかと。

(Amazon) 古代祐三 BEST COLLECTION Vol.2



実を云うと、最初のサントラが出た当時、ザ・スーパー忍の曲はあんまり好きではありませんでした。 その前にリリースされた「ザ・スキーム」の曲が古代節濃縮還元500%くらいの充実度だったので、それと比べると「ザ・スーパー忍」の楽曲は全体的に軽く、スカした感じがしてちょっとイマイチだったんですね。(なので、カップリングのX68Kボスコニアンばっかり聴いてたのは多分私だけではないはず^^;) …が、それ以降の古代氏は色々と実験的な作品が多くなり、ゲームミュージック自体も今までの型にはまらない表現が増えていきました。 そういう表現に慣れた今、改めてこの「ザ・スーパー忍」を聴くと…これが面白いんですよ。 古代氏が当時のライナーノーツで「コケティッシュ」(=なまめかしくて色っぽい)と表現したサウンドはまさにその通り。 当事者の心情というよりも、ちょっと引き目線で見た(要は海外から見た日本人とは異なる「忍者」の)イメージソングといった感じ。 そういう目線が入っているからこそ、和風一辺倒ではない軽快なノリが出ているのが面白いです。 また、古代氏が色々な作風を試し始める過渡期の作品ということもあり、そこには古代節もしっかり入っているのが嬉しいところ。 改めて凄ぇなぁ…と思ったのが、ボス曲「TERRIBLE BEAT」や最終面「LABYRINTH」などの激しい系の曲。 2曲とも大変短い曲なんですが、他の曲が軽めな分、これらの曲が鳴り始めた時のテンションの上がり方は尋常ではありません。 かと思えば、エンディング「MY LOVER」では和のしっとりとした旋律を思う存分聴かせてくれます。X68Kボスコニアンのエンディングと曲調が近いですが、これは開発時期が同時期だったせいでしょうか^^;) …っと、書き忘れてましたが、このサントラに収録されているのは、原曲のPC88版…ではなくメガドライブです。(MD版で全曲収録は多分初だと思います。 大昔にでた「Beメガ」のオムニバスCDにちょっとだけMD版が入ってた気はしますが) PC88版と一部楽曲の音色などが違っているので、違いを聴き比べるのが通な楽しみ方なのかも。
あと、同じく古代氏が担当した「The GG忍」シリーズ。 こちらは音源が異なる為、(一部は同一曲を流用しているものの)MD版とは異なる曲が多数あります。 これがまたイイ! なんというか…超アルガーナ風味。 …っても一部の人にしか通じないので補足しますと、大昔にアルファレコードから出ていた「アーリーコレクション」というサントラに収録されていた「アルガーナ」というゲームの楽曲がありまして。 これが確かX1のPSG3音だけで構成されていて、「The GG忍」と音源が非常に近いせいか、楽曲の印象も非常に近いです。 MD版とは全く異なる、PSGの響きが活きた名曲揃いですのでこちらも是非。

あと、今回(たぶん)初収録の「ザ・スーパー忍II」。 こちらは古代祐三氏の作曲ではないんですが、メロ重視のヒロイックなサウンドが個人的には直球どストライクで、当時は前作よりもこっちのほうが好きでした。(当時、MD(メガドライブじゃなくてミニディスクね)に自主録したにも関わらず、ミスで上書きしちゃったので、今回十数年ぶりに聴きました^^;) また、忍者の隠密さや悲哀が表れたようなダークさを併せ持つところも個人的には高ポイント。 とにかくカッチョイイので聴け!ということでひとつ。 あと、「ザ・スーパー忍II」の独特の節回し、どっかで聴いたことあるなぁ…特に「HE RUINS」の後半とか。 ああいう感じの変な感じ、絶対コレ以外で聞き覚えあるんだけど…なんだっけなぁ、思い出せない。(T_T) 個人的には「ALIEN STORM」あたりが近いと思ったんですが…ライナーノーツによれば、ALIEN STORMの作曲者は「シャドー・ダンサー」のほうの作曲者で、「ザ・スーパー忍II」の作曲者とは別人らしい…んー、謎です。(逆に、エイリアンストームの作曲者=シャドーダンサーということで、シャドーダンサーの楽曲に興味が沸いてきました。 こっちはあんまり聴き込んでないので聴かなきゃ!)

もひとつ気になるのが、海外だけで発売されたという「Alex Kidd in Shinobi World」。(これは後述の「アレックスキッド コンプリートアルバム」でも聴けます) このへんはライナーノーツにも詳細が無いんですが、曲を聴いてるとどうもコンパイル臭いの。 「GAME OVER」なんかは思いっきりGGアレスタのイントロっぽいし。 この頃のSEGAコンシューマ(に限らず色々そうらしい)はかなりコンパイル製が多かったとの事で、実はコレもその一つなんじゃないかと睨んでるんですが…如何でしょう??>詳しい方

続いて、コミケで先行発売された以下の2作。(※現時点では一般発売は未定のようです)



アレックスキッド コンプリートアルバム

セガ モーターサイクル ミュージック ヒストリー



まずは「アレックスキッド」のほうです。 こちらは表題のとおり、ソニック以前に主にコンシューマで展開されていたシリーズ「アレックスキッド」各シリーズの音源が網羅されています。(マスターシステム系はPSG音源とFM音源両方収録!) 更に、アレンジバージョンとして光吉先生の唄う「アレックスキッドのうた」まで収録!(これが無駄にアツくて素晴らしい!) 更に、ジャケットは「P.S.すりーさん」でお馴染みのIka先生書き下ろし!(ちゃんと「せがさん」もいるw 『おにぎりうめぇ!』の元ネタはまさにこのアレックスキッドなんですね) なんというか…至れり尽くせりといった感じ。 楽曲自体は、初代のイメージを踏襲し、どれも割と軽快なものが多いです。(前述の「Shinobi World」あたりはちょっと異質な感じがしますが) なお、初代の作曲はセガのコンシューマを支えた「BO.」氏によるものですが、割と前衛的で変な曲が多いBO.氏にしては全曲普通に聴けてしまうという、ある意味レアな楽曲かもしれません。 初代は、当時MARK-IIIを持っていた友人の家でよく遊んだので、メロが染み付いてますね…嗚呼、懐かしい〜
…しかし、何よりも驚いたのが、BO.氏がライナーノーツ書いてる!(以前、同人誌で消息不明とか書いたのに…^^;) しかも、ライナーノーツの〆に「これからきっと何かのゲームの音を手掛ける…かもしれません?」とまで書かれた日にゃぁもう…期待していいんですよね?ね??

そしてもう1枚「モーターサイクル〜」のほうなんですが…こちらは敢えて辛口で。 これはいけません。(なんでも鑑定団の故・渡邉先生風) 正直なところ、製作者の愛が足りない…と思わざるを得ません。 あるいは詰めが甘いというか。 最近の WAVE MASTER のサントラはトータルパッケージとして非常に充実していたので、このサントラは「どうしちゃったの??」と思ってしまいました。
別に、楽曲がダメだと云ってるんじゃありません。 むしろ、収録曲はどれも素晴らしい。 過去にサントラ化された「エンデューロ・レーサー」は知る人ぞ知る名曲で、作りは荒削りながらも軽快なメインテーマに激しいタイトル曲など聴き応え十分です。(ちなみに、今回のサントラでは初めてメインテーマがループポイントまで収録されています。 謎だった楽曲の全貌が明らかに!) そして、今回初サントラ化された他の3タイトルはいずれもカッチョイイ!! 楽曲だけ聴く分には最高なんです。 …でも、サントラCDというトータルパッケージで見ると、他の WAVE MASTER 系の最近のサントラと比べると2〜3ランク下と思わざるを得ません。
その理由ですが、まずは装丁からしてダメです。 ソレっぽい絵と収録タイトルのロゴは載ってますが、曲名インデックスが外から確認できません。 全体的なデザインもやっつけ仕事風味。 一応、ブックレットには曲名が載ってますが…逆にブックレットは曲名しかありません。 いつもは、ブックレットに当時の開発者や作曲者のアツいライナーノーツがみっちりと並んでるはずなのに…なんでしょう、この虚しさは。(T_T) ライナーノーツの類を結構楽しみにしている私にとってはかなりマイナスポイント。 しかも、最低限の情報であるはずのスタッフですら全く掲載されてません。 責任の所在すら明確にされてない…こんなの、今までの WAVE MASTER では有り得ません。
また、マニア的ツッコミポイントなのは「エンデューロ・レーサー」が1バージョンしか収録されていないのが非常に残念。 「エンデューロ・レーサー」に関しては、確か最初に出たサントラのライナーノーツ?で「音源が2バージョンある」と開発(作曲?)者が暴露しており(確か、ベース基板がスペースハリアーアウトランの2つで、それぞれ搭載音源が違うとか何とか)、両方の音源で聴き比べたいと思っていたのは多分私だけではないと思います。 今回、うってつけのサントラが出るわけで、当然このへんもフォローされているだろうと期待していたのですが…残念ながら今回も1バージョンのみの収録のようです。(T_T) …というか、録音スタッフにその事を知ってる人がいなかったんでしょうか? また、「エンデューロレーサー」の楽曲タイトルの付け方にも疑問を感じます。 最初に出たサントラでは、「Name Entry 1」となっている楽曲の後半に別の曲が繋がっていて、今回はトラックが分離されているのですが…その曲のタイトルが「BGM 1」って…なにこのやっつけ仕事。 だいたい、他のBGMは全部曲名(っても流れる場面ですが)がついてるのに、最後に1曲だけ「BGM 1」って…どう考えてもおかしいじゃないですか!(「BGM2」なんてないのに!) 適当に仮タイトルつけたのがそのまま曲名になっちゃいました、みたいな。 実は他に、当方の環境ではDisc1の一部の曲で音飛びが発生しているのですが、これは単純にうちのPCのリッピングミス(※外で聴く用にCDからMP3に落として持ち歩いてます)の可能性があるので、現在検証中です
そんなわけで、このサントラに関しては、残念ながら今までのサントラと比べると非常に作りが甘いと云わざるを得ません。 楽曲自体は良いのに、パッケージとしての魅力が乏しいんです。 これなら、配信で楽曲だけ安く提供してくれたほうがマシな気も。(もちろん現時点ではCDのほうが音はイイのでそれなりの意義はありますが) 予想ですが、今回コミケ合わせで新譜をリリースするにあたり、こちらのサントラは無理矢理間に合わせたのではないでしょうか? スケジュールの都合上、最低限の楽曲収録以外の部分に時間と手間をかけられなかった、と。 でも、一度サントラとしてパッケージ化されたものはリスナーの手元に残ります。 こんな作りの甘いものを出されたのでは悲しいです。 これだったら、無理にリリース期日を間に合わせず、しっかりしたパッケージとして出して欲しかった。 WAVE MASTER 様には是非とも猛省していただき、今回のような過ちをせず「こだわりのサントラ」を作って戴きたい次第です。
ついでに、何らかの形で「バビロニアン・キャッスル・サーガ」もちゃんと出して欲しいですw お蔵にするのは勿体無いよ〜(T_T)

…余談ですが、先ほど書いた「エンデューロ・レーサー」は、当時アーケードで何度かプレイし、予想以上に難しいゲーム内容に閉口したのですが(メインテーマを1ループ完全に聴けた記憶が無いT_T)、個人的にはそれ以上にき○たま痛いゲーとして脳裏に焼きついているのでしたw(男子は多分同意してくれるかと…^^;)