俺とChiptuneに関する考察的駄文

というわけで、ここからが本日のテーマ。 前回のPC-Engineのくだりで「書きたかった」と記したことを少し?だけ。
いきなりですが、Chiptuneという言葉に未だに違和感を覚える拙者です。 それは何故か? Chiptuneというのは(私の知る限り)元々は海外のクラブシーンとかで出てきたものだと思ってます。 ゲームボーイとかAMIGAとかそのへんを超絶に使いこなし、SE的に作りこまれた音を4つ打ちのミニマルミュージック的に仕上げて爆音で鳴らす…そんな感じ。(思いっきり勘違いだったらゴメンナサイ) なので、私がやっているのとは出発点が全く違う気がするんですよ。
私は気づけばもう20年以上も趣味でChiptune(と今は呼ばれるもの)をやってますが、そのルーツは間違いなくゲームミュージック」と「ベーマガ。 この2つだと思ってます。 まず前者ですが…当時のゲームミュージックはキャッチーなメロディが曲を引っ張っていくタイプの曲が多く、この時点で海外で生まれた「Chiptune」とは全く別物だと思うのです。 そして「ベーマガ」(マイコンBASICマガジン)。 当時のベーマガには「VGMプログラムコーナー」というのがあり、雑誌掲載のプログラムリストを打ち込むと自分のパソコンでゲームミュージックなどを聴くことができました。 既にこの頃からゲームミュージックのアルバムはいくつか出ていたものの、当時の少ない小遣いではなかなかアルバムが買えません。 そんな中、VGMプログラムは神のような存在でした。 なんせ、雑誌代と打ち込む手間さえかければ、自分のパソコンでゲームミュージックが聴けるわけですから! しかし、いくつか打ち込んでいくうちに作品のデキに不満を感じることも多くなり、自分でいじってみたくなりました。 最初は採譜違いをちょっと直したり、ディレイパートを加えたりといった感じでしたが、そのうち自分で色々と作ってみたくなり、ベーマガやサントラCDの付録についてた楽譜を見て打ち込んだのが最初だったと思います。 その時使っていたのは初代MSXだったので、矩形波3音しか載っていません。 しかし、その制約を打破すべく、マシン語を使ってPSGに変調をかけるルーチンがついたVGMプログラムがいくつかありました。 そのやり方に興味を持った私は、友人にZ80アセンブラの見方を習い、ハンドアセンブルでプログラムを書いて、PSGを色々といじってました。(この頃の知識が思いっきり今の本職とか趣味のアレに役立ってたりするので、一見無駄に見えても何が役立つかわかりませんな)
…ちょっと話が逸れましたが、ここまで書いた時点で既に全く別物ですよね。 あれから20年以上経ちますが、基本的にやってる事は当時とほとんど変わりません。 なのに、気づけば舶来の「Chiptune」がやってきて、その流行に呑みこまれ、気づけば今やってる音楽も「Chiptune」という名前になっていた、と。 以前どこかで書いた気がしますが、時代遅れの先頭を走ってたら、何時の間にか流行の最前線の最後尾に呑みこまれてたって感じ。 自分の中の絶対位置はほとんど変わってないはずなのに…不思議なもんです。(^^;) もちろん、海外の方の超絶テクニックを参考にしたり、チップの限界を超えることも主眼の1つとして最近は作っているので、そういう意味では確かにChiptuneなのかなぁ…?? そんな感じで、個人的にはChiptuneという言葉にちょっと違和感を覚えてたりもしますが、今となってはめんどくさいのでChiptuneやってます」と対外的には云うようにしてます。(^^;)
あと、最近はChiptuneという言葉のほうが浸透しつつありますが、それ以外に「8ビットミュージック」という言い方もあるようです。 この言葉はChiptuneと違い、よりライトな層に向けた言葉という印象があり、昔のゲームミュージック的ニュアンスも含んでいるので、こちらのほうがより私のやっていることに近いのかなぁ…?と思ったり思わなかったり。 ただ、(これも最近知ったんですが)正式名称は「エイトビットミュージック」…なんですか?? えー、「はちビット」じゃダメなの? 変にカッコつけなくていーじゃん! だって、初代メガドライブに燦然と輝いてたアレだって「シックスティーンビット」なんて誰も云わないじゃん。 アレはやっぱり「じゅうろくビット」だよね? それを考えると、「はちビット」のほうが普通なんじゃないの…?と首を傾げたくなる今日この頃です。
ちょっと話が逸れますが、日本語圏の人って横文字っぽい表現に憧れる反面、めんどくさい言い回しになると避けたがる気がします。 例えば、ゴルフの中継。 私自身は興味無いんですが、実家にいた頃は休日に親父がよく見てたので、なんとなく見ていたのですが…解説者がスコアを表現するとき、途中までは英語なんですよ。 「セブンアンダー」「テンアンダー」「トゥエルブアンダー」…で、その後は急にじゅうさんアンダー」とか。 このギャップが可笑しくて未だに印象に残ってます。 しかも、最近では10を超えると日本語になるらしく、「テンアンダー」の次が急に「じゅういちアンダー」になったり。 変なの。 数字表記の件でもう1つ印象に残ってるのが、Nintendo64が出たばかりの頃のCM。 コントローラの真ん中についているアナログ?スティックの事を「3Dスティック」というらしいのですが、当時のCMではその事を「さんでぃースティック」と表現してたんですねー。 これは聞いた瞬間「画期的だ!」と思ったのを覚えてます。 ついでに、その事をネタにして、今や無きベーマガの「読者の闘技場」(雑誌によくある読者の葉書ねたコーナー)に「『さんでぃースティックをグリグリ』と句読点をつけるとエロい。というのを投稿したらウッカリ掲載されてしまった拙者ですw 実は、読者の闘技場に投稿したのはコレ1回きりなので、掲載率100%!とか書くとなんか凄いですが大したことありませんw …更に脱線しますが、昔、秋葉原のとあるお店でご飯を食べた時、そこの大将の注文の数え方が面白かった。 1個頼むと「定食ワンダー!」、2個頼むと「定食ツーダー!」となり、それが3つになると今度は「定食サンダー!!」となったところで豪快に噴いたwww その店自体はまだあるんですが、あの大将はまだいるのかな…??

…脱線し過ぎて大変なことになってきたのでそろそろ話を戻します。 もう1つ書きたいのが、Chiptuneとコダワリについて。 恐らくはファミコン20周年のあたりからファミコン時代のサントラが色々と出た関係で、徐々にChiptune的音楽が一般層にも認知されはじめたのですが、それに伴って同人や一般流通のCDでもその手のアレンジを施したアルバムを見かけるようになりました。 それはそれで良いのですが、問題はそのクオリティ。 中にはMIDIモジュール(SC-88とか)のプリセットの矩形波でメロとベースとバッキングをベタ打ちして「ファミコン風」と謳っているものもあったりします。(今でもタマにある) こういう妥協の産物的なのを聴いてると、なんか悲しくなっちゃうんですよ…(T_T) 別に「全く手を抜くな」と云いたいわけじゃありません。 Chiptuneは制限音楽ですので、思い切ってそぎ落とす必要もあるでしょうし、市販のアルバムなんかだと製作期間の問題もあるので、何かを妥協せざるを得ない場合があるのも事実でしょう。 でも、魂の入ってないChiptune(とも呼べない代物)ってのは手抜きをすることが前提として作られている気がするんですよ。 恐らく、製作サイドが「今流行ってるし、普通の音楽よりも簡単に作れるから」という理由で作ってるんじゃないか、というのが悲しいほど透けて見えてしまう作品があるんだよなぁ… しかし、それは全くお門違い。 音数も音色も少ないからこそ、より良く聴かせる為にはセンスやテクニックを総動員しないとイイ物は作れないんですよ! この時代のゲームミュージックコンポーザの方々は、ゲームミュージックをより良く聴かせる為に試行錯誤を繰り返していました。 根本的なアレンジ(パート割)もそうですし、少しでも休符があろうものならそこに音を詰め込むある種パズル的な組み立て方や、ノリを出す為の細かい発音時間の調整もしかり、更には細かい音階切り替え(通称「高速アルペジオ」)を駆使したりなど、とにかく色々なアイデアを惜しみなく詰め込んでいるからこそ、あれだけの制限の中でも素晴らしい音楽が生まれたんです。 それを、音色と発音数も減らした上に、情熱までそぎ落としてしまっては、最後に残るのは魂を抜かれた抜け殻でしかありません。 Chiptuneを手抜き前提で作ってしまう人っていうのは、制限音楽に対する諦めから入っているような気がします。 まずそこが根本的に間違ってる。 単なるノスタルジーと妥協の産物に未来なんてありません。 それに対して、製作者の情熱を詰め込んで限界を超えるべく果敢に挑戦するChiptune…どちらが良いと思いますか? 私は迷わず後者を選びます。 様々なテクニックとセンスを総動員して楽曲を作り、そこで新たな世界が見えてくる…楽しいですよぉ。 そこにはちゃんと未来がある。 まさに男のロマン!!って感じ。(そういえば、Chiptuneやってる女性ってほとんど見かけないんですが…本当は細かい部分に目が行く女性のほうが向いてる気がするのは拙者だけですか?^^;) 私がFMPSGを立ち上げた動機の1つがまさにコレなんです。 私なんかはまだまだ発展途上だと思ってますが、こういうのを示していかないと、Chiptuneとして最後に残るのがスカスカの骸だけになってしまっては悲しいですから… そんなわけで、制限を越える為の手法は未だに研究中です。 最近、FMPSG等で発表する作品は、ほとんどの作品で最低1つは新しいことを試すようにしています。 もちろん、全てがうまくいくことは無く、その手法を使うことで完成度が落ちてしまうこともあるのですが、そこで試したことはいずれ何らかの形で役立つとは思っています。(おかげで最近は徐々に打率が上がって来た気がする)
Chiptuneはまだまだ進化できる! そう信じつつ、曲を打ち込む今日この頃です。

…なんか、思うがままにとっちらかったまま書きなぐってしまいましたが、最近考えていたことは概ねこんな感じということでひとつ。 最後まで駄文につきあってくださった方に感謝します。m(_ _)m