武富智 / Yell

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※本作品は単行本ではなく「月刊ヤングジャンプ3月号」掲載の読みきりです。
というわけで、先日ついに完結編が発売された「EVIL HEART」に続き、雑誌での久々の新作読みきり(2年ぶりとの事)です。 買いそびれてたらなかなか店頭で見つけられずにちょっと焦りました…(そろそろ流通在庫も危ないので、読みたい方は見つけたらすぐ確保しましょう!
今回のお話ですが…まず、YJ本誌などで載っていた予告カットを見ると、いつもより若干高齢の女性と…海坊主??一瞬、土星マンション(岩岡ヒサエ)の影山さんかと思ったよ…(^^;) 正直、この時点で内容が全く予想できませんでした。 それだけでなく、最初の数ページは実際に読んでみてもどういう展開になるのか全く想像がつかないの。 とりあえず、武富先生の持ち味の1つであるコミカルな表現は相変わらず面白いなぁ、と思いましたけど。(このへんのテイストは先生の作品の1つ「この恋は実らない」に近いかなぁ、とか)
その後、ある事をきっかけに女性の真意が明らかになり、物語が展開するのですが…あんまり内容を書くとネタバレになるのでこれ以上は書きませんが、最後に男が叫んだ一言(二言…か)にまたもや号泣。(T_T)
武富先生…何度俺を泣かせりゃ気が済むんですか!(T〜T) 歳取ると涙腺が緩くなっていけねぇや…
その言葉は、まさにこの漫画のタイトル「Yell」なんですよ。 ストレートな「がんばれ」じゃないけど、心に突き刺さるエール…うーん、ヤラれた!



もちろん、普通に読んでもグッと来るところではあるんですけど、私は別の意味でグッときてしまいました。

(以下、拙者の妄想なので武富先生の真意とは違うかもしれません。 あくまで私の解釈ということで…)

私が思うに、この物語に出てくる女性は恐らく武富先生自身なんじゃないかな…と。(もちろんシチュエーションは違いますが、自分を投影した存在に見えた) で、男がかけた言葉ってのは、たぶん武富先生自身がこれに近い言葉を誰かに云われた(もしくはそういう信念を持っている)んじゃないのかなぁ…と。
YJを昔から読んでる人はご存知かと思いますが、武富先生の漫画「EVIL HEART」では、YJ本誌において一度(恐らく)打ち切りを喰らっています。 普通、打ち切りを喰らった漫画というのは、作者や読者の期待するような形で完結することはまずありません。(単行本化される場合に少し加筆できれば良い方だと思います…下手すると単行本にすらならない場合も多々あったり) 打ち切りに遭った=読者の人気が無いわけで(誤解の無いように補足しますが、ここでの「人気」とはあくまで「多数決」であって、一般受けしなくとも漫画自体はクオリティが高く、熱烈なファンがついている場合もあります。 EVIL HEARTはまさにこの典型かと)、普通に考えれば、人気の無い漫画を続けるよりも一旦仕切りなおして新しい漫画で挽回したほうが遥かに生産的ではないかと思うわけです。 …でも、武富先生は違いました。 そこから単行本丸々書き下ろしという形で3冊刊行し、遂に完結させたんです。 普通じゃこんなのまず有り得ません。 そこに、武富先生の並々ならぬ情熱と気迫を感じました。
…で、話を戻すと、武富先生は連載打ち切りをはじめとして、単行本の書き下ろし中にも恐らく様々な困難があって、挫折しかけた事が何度もあったと思うんです。 そんな時にかけられた言葉(もしくは自身の信念として持っていた言葉)がここに出てくる「Yell」なんじゃないかと。 …そんなことを思いながら読み返すとまた泣けてきた…(相変わらず涙腺緩みっぱなしの拙者ですT〜T)

この漫画は、何か壁にぶち当たって挫折しかけてる人、出口が見えなくて諦めかけている人に是非読んで欲しいです。 ここに出てくる言葉は、武富先生からの「Yell」なんだと思います。

この漫画のおかげで、明日からも頑張れそうです。 武富先生、本当にありがとうございます…「Yell」、確かに受け取りました!!